オプジーボ、高リスク筋層浸潤性尿路上皮がん(PD-L1≧1%)の術後補助療法としてCHMPが肯定的見解を示す
2022/03/16
文:がん+編集部
PD-L1発現レベルが1%以上の根治切除後の高リスク筋層浸潤性尿路上皮がん患者さんに対する術後補助療法として、ニボルマブ(製品名:オプジーボ)を欧州医薬品庁の医薬品委員会(CHMP)が肯定的見解を示しました。
オプジーボ、プラセボと比べ再発または死亡のリスクを45%低下
ブリストル マイヤーズ スクイブ社は2月25日、根治切除後の再発リスクが高いPD-L1発現レベルが1%以上の筋層浸潤性尿路上皮がんの成人患者さんの術後補助療法として、ニボルマブの承認をCHMPが推奨したことを発表しました。今回の肯定的見解は、CheckMate-274試験の結果に基づくものです。
CheckMate-274試験は、根治切除後の再発リスクが高い筋層浸潤性尿路上皮がん患者さん708人を対象に、ニボルマブとプラセボを比較した第3相試験です。主要評価項目は、ITT※集団とPD-L1発現レベルが1%以上の患者さんに対する無病生存期間、主な副次評価項目は全生存期間、非尿路上皮無再発生存期間、疾患特異的生存期間でした。
解析の結果、ニボルマブはプラセボと比べ、無病生存期間の中央値が2倍近く延長し、再発または死亡リスクを30%低下しました。PD-L1発現レベルが1%以上の患者さんの無病生存期間の中央値は、ニボルマブは未達、プラセボは8.4か月であり、再発または死亡のリスクを45%低下しました。
安全性に関しては、ニボルマブの投与中止につながる副作用が患者さんの18%に発生。副作用により、投与が延長された患者さんは33%でした。2%以上で報告された重篤な副作用として、尿路感染症が認められました。肺臓炎を含む致死的な副作用が1%で発現し、20%以上で報告された副作用は、発疹(36%)、疲労(36%)、下痢(30%)、そう痒症(30%)、筋骨格痛(28%)および尿路感染症(22%)でした。
同社の泌尿生殖器がん領域、バイスプレジデント兼開発プログラム責任者であるDana Walker医師は、次のように述べています。
「高リスク筋層浸潤性尿路上皮がんの根治切除は、患者さんの生活の質に大きな影響を及ぼす可能性があります。残念ながら術後補助療法の治療選択肢は限られており、大手術に耐えてもなお、約50%の患者さんが再発を経験します。CheckMate-274試験の結果に基づき、オプジーボは、高リスク筋層浸潤性尿路上皮がん患者さんの無病生存期間を有意に延長した最初で唯一の免疫療法薬です。CHMPの肯定的な推奨を受け、有効かつ忍容性が良好な術後補助免疫療法の選択肢により、欧州連合の患者さんに早期に疾患の経過を変えるチャンスを提供できる日に向けて、一歩前進することができました」
※ITT(intention to treat)集団:臨床試験中に、治療から脱落した患者さんも含めた集団。