「オプジーボ+化学療法」、切除可能な非小細胞肺がんの術後補助療法としてFDAが承認

2022/03/24

文:がん+編集部

 切除可能な非小細胞肺がんの術後補助療法として、「ニボルマブ(製品名:オプジーボ)+化学療法」が米国食品医薬品局(FDA)から承認されました。

「オプジーボ+化学療法」、化学療法と比べ病勢進行または死亡リスクを37%低減

 ブリストル マイヤーズ スクイブ社は2022年3月4日、切除可能(腫瘍4cm以上もしくはリンパ節転移陽性)な非小細胞肺がんの術前補助療法として、「ニボルマブ+化学療法(プラチナ製剤を含む化学療法2剤を3週間間隔で3回投与)」の併用療法をFDAが承認したことを発表しました。今回の承認は、CheckMate-816試験の結果に基づくものです。

 CheckMate-816試験は、PD-L1発現レベルにかかわらず、切除可能な非小細胞肺がん成人患者さんの術前補助療法として、「ニボルマブ+化学療法」と化学療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は無イベント生存期間、完全奏効率、その他の有効性評価項目は全生存期間でした。無イベント生存期間は、手術を妨げる病勢進行、病勢進行、手術後の再発、または死因を問わない死亡が発生するまでの期間と定義され、完全奏効率は、原発腫瘍および採取されたリンパ節の両方の生存腫瘍細胞の残存が0%と定義されました。

 解析の結果、「ニボルマブ+化学療法」は化学療法と比べて、病勢進行または死亡リスクを37%低減し、統計学的に有意な無イベント生存期間の延長が認められました。完全奏効率は、「ニボルマブ+化学療法」24%、化学療法2.2%でした。全生存期間の中間解析の結果では、統計学的な有意性は認められませんでした。

 安全性に関しては、「ニボルマブ+化学療法」の治療を受けた患者さんの10%で投与が中止され、30%の患者さんで1回以上の投与が見送られました。また、重篤な副作用が30%で発現し、2%以上の患者さんで認められた重篤な副作用は、肺炎と嘔吐でした。20%以上の患者さんで認められた副作用は、悪心(38%)、便秘(34%)、疲労(26%)、食欲減退(20%)および発疹(20%)でした。

 CheckMate-816試験の治験担当医師であり、ダナ・ファーバーがん研究所の胸部腫瘍Loweセンター臨床部長であるMark Awad医学博士は、次のように述べています。

 「切除可能な非小細胞肺がん患者さんは再発率が高く、術前の使用によって手術による治療の成功率を高め、再発リスクを抑えるという目標を支援する新たな治療選択肢が必要とされています。プラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法によるオプジーボの承認は、切除可能な非小細胞肺がんの治療における転換点です。この承認により、手術前の患者さんの術前補助療法として免疫療法薬と化学療法の併用療法の使用が可能になります。本日の発表は、非小細胞肺がんスクリーニングと早期発見率を高め、患者さんが医療提供者と治療選択肢を相談する必要性を高めるものです」