子宮平滑筋肉腫に対する遺伝子発現解析で、2つの新たな治療標的を特定

2022/04/07

文:がん+編集部

 子宮平滑筋肉腫に対する遺伝子発現解析で、2つの新たな治療標的が特定されました。新規治療薬として期待されます。

子宮平滑筋肉腫に対し、PLK1とCHEK1阻害薬が有効であることを動物実験で確認

 名古屋大学は2022年3月24日、子宮平滑筋肉腫の網羅的な遺伝子解析を行い、新たな治療標的となるPLK1遺伝子とCHEK1遺伝子を特定したことを発表しました。同大大学院医学系研究科産婦人科学の梶山広明教授、吉田康将特任助教、同大医学部附属病院産婦人科の横井暁病院助教、国立がん研究センター研究所病態情報学ユニットの山本雄介ユニット長、国立がん研究センター中央病院婦人腫瘍科の加藤友康科長らの研究グループによるものです。

 研究グループは、子宮平滑筋肉腫の患者さんのがん組織を次世代シーケンサーで網羅的に遺伝子発現解析を実施。良性腫瘍と比較し、発現変動している遺伝子を512個見つけました。その512個の遺伝子の機能解析で、細胞周期に関わる複数の酵素が活性化していることがわかりました。その酵素を阻害する細胞実験で、PLK1阻害薬とCHEK1阻害薬の高い抗腫瘍効果が確認され、さらにマウスを使った動物実験でも高い抗腫瘍効果を示しました。

 研究グループは今後の展開として、次のように述べています。

 「子宮平滑筋肉腫に対して、PLK1阻害薬とCHEK1阻害薬が有効であることが、動物実験を含むさまざまな実験により明らかにされました。これらの阻害薬は、他のがん種においては臨床試験がすでに行われており、ヒトにおける安全性に関するデータも得られています。従って、子宮平滑筋肉腫に対しても早期に臨床試験を企画し、臨床的な効果の検証が期待されます」