キイトルーダ、ステージ1B~3Aの非小細胞肺がんに対する術後補助療法として無病生存期間を延長

2022/04/20

文:がん+編集部

 ステージ1B~3Aの非小細胞肺がんに対する術後補助療法として、ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)を評価したKEYNOTE-091試験で、PD-L1の発現にかかわらず、プラセボと比較して無病生存期間の延長が示されました。

キイトルーダによる術後補助療法、早期非小細胞肺がんの再発予防治療として期待

 米メルク社は2022年3月17日、第3相KEYNOTE-091試験の結果を発表しました。

 KEYNOTE-091試験は、外科的切除後のステージ1B~3Aの非小細胞肺がん患者さん1,177人を対象に、術後補助療法としてペムブロリズマブとプラセボを比較した第3相試験です。主要評価項目は全ての患者さんとPD-L1陽性(TPS≧50%)の患者さんに対する無病生存期間、副次的評価項目は、全生存期間、肺がん特異的生存率などでした。無病生存期間は、再発、新たな原発性肺がんの発生、新たながんの発生、原因を問わない死亡のうち最初に発生したものまでの時間と定義されました。

 試験の結果、PD-L1の発現にかかわらず無病生存期間の有意な延長が示され、再発または死亡リスクがプラセボと比較して24%低下しました。もう1つの主要評価項目であるPD-L1陽性患者さんの無病生存期間でも延長が示されましたが、事前に設定された統計解析計画に基づく統計学的な有意性は示されませんでした。安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一貫していました。

 共同治験責任医師で英国ロンドンのThe Royal Marsden, NHS Foundation Trustの腫瘍内科コンサルタントでLung Unit責任者、Imperial College Londonの実務教授(腫瘍内科学)のMary O’Brien教授は、次のように述べています。

 「肺がんは早期ほど治療しやすく、術後に治療を追加することで再発リスクを防げる場合もあります。第3相試験の新たなデータでは初めて、術後補助免疫療法により、1B〜3A期の非小細胞肺がんにおける無病生存期間の統計学的に有意で臨床的に意味のある改善が示されたことを心強く感じています」

 また、共同治験責任医師でスペインのマドリッドにあるHospital Universitario Doce de Octubreの腫瘍内科部長のLuis Paz-Ares博士は、次のように述べています。

 「転移のある非小細胞肺がんに対する治療は大きく進歩していますが、早期の患者さんの43%が手術後に再発するなど、今でもアンメットニーズが存在しています。キイトルーダを術後補助療法で投与したこの試験で無病生存期間の良好な結果が得られたことで、1B〜3A期の非小細胞肺がんに対する新たな治療の可能性が示されました」

※:Tumor Proportion Scoreの略で、免疫染色検査によるPD-L1発現率のこと。