STAMP阻害薬セムブリックス、慢性骨髄性白血病の治療薬として国内承認

2022/04/22

文:がん+編集部

 STAMP阻害薬アシミニブ(製品名:セムブリックス)が、慢性骨髄性白血病の治療薬として国内承認されました。

セムブリックス、ボシュリフと比べほぼ2倍の分子遺伝学的大奏効を示す

 ノバルティス ファーマは2022年3月28日、STAMP阻害作用をもつアシミニブが、「前治療薬に抵抗性または不耐容の慢性骨髄性白血病」の効能・効果で国内承認されたことを発表しました。今回の承認は、ASCEMBL試験の結果に基づくものです。

 ASCEMBL試験は、2剤以上のチロシンキナーゼ阻害薬による前治療歴があり、直近のチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性、または不耐容なフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病患者さん233人を対象に、アシミニブとボスチニブ(製品名:ボシュリフ)を比較した第3相試験です。主要評価項目は24週時点の分子遺伝学的大奏効率、主要な副次評価項目は96週時点の分子遺伝学的大奏効率でした。

 主要評価項目である24週時点の分子遺伝学的大奏効率の解析の結果、アシミニブ25%、ボスチニブ13%とほぼ2倍の奏効率が認められました。

 安全性に関して、副作用により治療を中止した患者の割合が、アシミニブはボスチニブの3分の1未満でした。20%以上で認められた主な副作用は、アシミニブでは血小板減少症(29.5%)、好中球減少症(23.1%)、ボスチニブでは下痢(71.1%)、悪心(46.1%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の増加(28.9%)、嘔吐(26.3%)、発疹(23.7%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の増加(21.1%)、好中球減少症(21.1%)でした。

 アシミニブは、STAMP阻害作用により、従来のチロシンキナーゼ阻害薬とは異なる作用機序をもつ新しい慢性骨髄性白血病の治療薬です。今回の承認で、従来のチロシンキナーゼ阻害薬による治療に抵抗性または不耐容であった患者さんに対する、新たな治療選択肢として期待されます。

 同社のオンコロジー事業本部 血液腫瘍領域事業部 執行役員 事業部長の齋藤昌信氏は、次のように述べています。

 「慢性骨髄性白血病の治療は大きな進化を遂げていますが、既存治療では効果が十分に得られていない、もしくは日常生活に困難を生じる副作用に悩む患者さんもいらっしゃいます。ノバルティスはこの現状を真剣に受け止め、解決法を模索してきました。今回の承認で、従来のチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性、または不耐容の慢性骨髄性白血病患者さんに、新しい作用機序を持つ治療選択肢を提供することができることは、20年以上にわたって慢性骨髄性白血病治療の変革に取り組んできた私たちにとりましても大変嬉しいことです。ノバルティスは、引き続きこの疾患とともに生きる患者さんの人生に貢献することを目標に、医薬の未来を描いていきます」