CAR-T細胞療法「キムリア」、再発または難治性の濾胞性リンパ腫の効能・効果でECが承認

2022/06/13

文:がん+編集部

 チサゲンレクルユーセル(製品名:キムリア)が、再発または難治性の濾胞性リンパ腫の効能・効果で、欧州委員会(EC)に承認されました。

完全奏効を達成した患者さんの87%で、最初に奏効が達成されてから9か月後以降も効果が持続

 ノバルティスファーマは2022年5月4日、再発または難治性の濾胞性リンパ腫の成人患者さんの治療製品としてCAR-T細胞療法「チサゲンレクルユーセル」を、ECが承認したことを発表しました。今回の承認は、ELARA試験の結果に基づくものです。

 ELARA試験は、2ライン以上の前治療後の再発または難治性の濾胞性リンパ腫の成人患者さんを対象に、チサゲンレクルユーセルの有効性と安全性を評価した第2相試験です。主要評価項目は最良効果に基づく完全奏効率、副次的評価項目は全奏効率、奏効期間、無増悪生存期間、全生存期間、安全性などでした。

 試験の結果、完全奏効を達成した患者さんの87%で、最初に奏効が達成されてから9か月後以降も効果が持続し、奏効の長期持続が示されました。

 安全性に関しては、患者さんの約50%でサイトカイン放出症候群が報告されましたが、グレード3または4のサイトカイン放出症候群は認められませんでした。投与後8週間以内に患者さんの9%(1%がグレード3または4)に神経系副作用が発現し、16%に重度の感染症(グレード3または4)が発現しました。

 パリ第7大学血液学教授で、セントルイス病院(パリ)血液腫瘍科部長のCatherine Thieblemont医学博士は、次のように述べています。

 「濾胞性リンパ腫は治療に奏効しない場合や再発した場合、通常、より悪性度が高くなり、治療が困難になります。複数の治療によりベネフィットが低下し状態が悪化する患者さんがほとんどです。欧州においてキムリアが承認されたことで、患者さんは根治をもたらす可能性のある治療を受けることができ、転帰の改善につながると期待されます」