「リムパーザ+ザイティガ」、転移性去勢抵抗性前立腺がんの一次治療として無増悪生存期間を改善
2022/07/19
文:がん+編集部
転移性去勢抵抗性前立腺がんに対し、「オラパリブ(製品名:リムパーザ)+アビラテロン(製品名:ザイティガ)」併用療法を評価したPROpel試験の結果を発表。アビラテロン単独療法と比べ、無増悪生存期間の有意な延長が認められました。
「リムパーザ+ザイティガ」、ザイティガと比べて病勢進行または死亡リスクを34%低下
アストラゼネカと米メルクは2022年6月21日、PROpel試験の良好な結果がNew England Journal of Medicine Evidenceに掲載されたことを発表しました。
PROpel試験は、一次治療として化学療法または新規ホルモン製剤による治療歴のない転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんを対象に、「オラパリブ+アビラテロン」併用療法と「プラセボ+アビラテロン」を比較した第3相試験です。
主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間、2回目の病勢進行または死亡までの期間、初回の後治療または死亡までの期間などでした。
解析の結果、「オラパリブ+アビラテロン」併用療法は「プラセボ+アビラテロン」と比べて病勢進行または死亡リスクを34%低下しました。無増悪生存期間の中央値は、それぞれ24.8か月と16.6か月でした。
また、全生存期間については、このデータカットオフ時点では統計学的有意差に達していませんでしたが、「プラセボ+アビラテロン」との比較では延長傾向がみられました。初回の後治療までの期間および2回目の病勢進行までの期間の副次評価項目、ならびに客観的奏効率、PSA再発までの期間などの探索的評価項目に関する追加データは、全患者さんに対して、「オラパリブ+アビラテロン」併用療法の治療効果を裏付けるものでした。
安全性に関しては、これまでに報告された安全性プロファイルと一貫しており、「プラセボ+アビラテロン」と比較して、健康関連QOLへの悪影響は認められませんでした。
PROpel試験の共同治験責任医師およびNEJM Evidenceに投稿した論文の共同筆頭著者である、クリスティ/サルフォード・ロイヤル病院の泌尿器外科医でマンチェスター大学の泌尿器腫瘍学教授のNoel Clarke氏は、次のように述べています。
「転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんの新たな一次治療の選択肢を提示することは極めて重要です。NEJM Evidenceに掲載されたデータは、リムパーザとアビラテロンおよびプレドニゾンの併用療法の治療効果の可能性を強調し、DNA修復の欠損が認められている患者さんだけでなく、さらに幅広い患者さんにおいて有効性が期待されています」