抗がん剤によるがん免疫の活性化メカニズムを解明

2022/07/26

文:がん+編集部

 抗がん剤によるがん免疫の活性化メカニズムが解明され、トポテカンが新規標的である「RPL15」を阻害することでがん免疫を増強することがわかりました。より効果的ながん免疫療法の開発が期待されます。

抗PD-1抗体など、がん免疫療法改良への貢献に期待

 北海道大学は2022年7月4日、トポテカンによるがん免疫の活性化メカニズムを解明したことを発表しました。同大学大学院薬学研究院の鍛代悠一助教、松田正教授らの研究グループによるものです。

 細胞は化学物質・放射線・温度ストレスなど様々な傷害を受けた際に、「DAMP」と呼ばれる免疫を活性化させる分子を放出することが知られています。これまでに研究グループはトポテカンと呼ばれる抗がん剤で処理したがん細胞から免疫を活性化させるDAMPが放出され、がん免疫を促進させることを報告していましたが、そのメカニズムは不明でした。

 今回の研究で、トポテカンには既知の標的タンパク質であるトポイソメラーゼI以外に新規の標的としてRPL15が存在することを見出し、トポテカンはRPL15を阻害することでがん細胞からのDAMPの放出を促進することを解明しました。さらに抗PD-1抗体に対して抵抗性の皮膚がんに対し、RPL15の機能を阻害することで抗PD-1抗体感受性に変化することをマウスの腫瘍移植モデルで明らかにしました。

 このことから、トポイソメラーゼIには作用しないRPL15に特異的な阻害薬が開発できれば、抗PD-1抗体などのがん免疫療法の改良への貢献が期待できます。

 研究グループは今後への期待として、次のように述べています。

 「本研究ではトポテカンと呼ばれる抗がん剤の新規標的タンパクとしてRPL15を同定し、トポテカンがRPL15を阻害することでがん細胞からのDAMP放出を促進することを明らかにしました。さらに抗PD-1抗体に対して抵抗性であったメラノーマ腫瘍がRPL15の機能を阻害することで感受性に変化することをマウスの腫瘍移植モデルで明らかにしました。本研究の結果からトポイソメラーゼ Iには作用しないRPL15特異的な阻害剤が開発できれば、抗PD-1抗体などのがん免疫療法の改良に貢献することが期待できます」