進行・再発胸腺がんに対し「カルボプラチン+パクリタキセル+テセントリク」を評価する医師主導治験を開始

2022/08/18

文:がん+編集部

 進行・再発胸腺がんに対し、「カルボプラチン+パクリタキセル+アテゾリズマブ(製品名:テセントリク)」併用療法を評価する医師主導のMarble試験が開始されました。

胸腺がんに対し、「カルボプラチン+パクリタキセル+テセントリク」が高い有効性を示す可能性

 順天堂大学は2022年7月28日、「進行・再発胸腺がんに対するカルボプラチン+パクリタキセル+アテゾリズマブ(MPDL3280A)の第2相試験」(Marble試験)の治験届けを独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出し、医師主導治験を開始することを発表しました。

 希少がんは、大規模な臨床試験の実施が困難で、他のがんに比べ、治療開発が進まない傾向にあります。胸腺上皮性腫瘍も10万人/年あたり0.15人とまれな腫瘍で、胸腺がんはそのうち14.1%を占める希少がんです。そのため、大規模比較試験の施行は困難で、小規模な前向き試験、もしくは後ろ向き試験の報告があるのみとなっており、新たな治療法の確立は重要な課題であると考えられています。

 肺がん治療として、細胞傷害性抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法が標準治療として行われています。胸腺がんでも、プラチナ併用化学療法と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法が高い有効性を示す可能性が期待されることから、Marble試験が計画されました。

 Marble試験は、進行・再発胸腺がん患者さんを対象に、「カルボプラチン+パクリタキセル+アテゾリズマブ」の有効性と安全性を評価する第2相試験です。目標参加人数は47人で、実施期間は2022年5月~2026年4月を予定しています。本治験では、導入療法として3週間毎に「カルボプラチン+パクリタキセル+アテゾリズマブ」が、3~5か月間投与されます。その後、最大2年間までアテゾリズマブが投与され、投与終了後最長1年間の追跡調査が行われます。主要評価項目は全奏効率、副次的評価項目は病勢コントロール率、無増悪生存期間、奏効期間、全生存期間などです。