食道がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の新たな予後因子を解明

2022/11/14

文:がん+編集部

 食道がんに対する免疫チェックポイント阻害薬「ニボルマブ(製品名:オプジーボ)」の新たな予後因子が解明されました。

オプジーボによる治療開始時の炎症性マーカー「CAR」値が予後予測に有用

 関西医科大学は2022年10月27日、食道扁平上皮がんに対する二次治療以降として、ニボルマブの効果と予後因子を調べた結果、炎症性マーカーが予後予測に有効であるという研究成果を発表しました。同大学附属病院がんセンターの生駒龍興病院助教らの研究チームによるものです。

 日本では、フルオロピリミジン系やプラチナ系化学療法に抵抗性あるいは不耐の切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がん患者さんに対する標準治療として、ニボルマブの投与が行われています。2009年以降、炎症性マーカーの1つであるCRP/アルブミン比(CAR)が、さまざまながんに対する免疫チェックポイント阻害薬の予後指標として有用性が報告されています。

 そこで研究チームは、ニボルマブ単独による治療を受けた食道扁平上皮がん患者さんでも、炎症性マーカーが予後因子として有用であるかを検討するため、93人の患者さんを解析しました。その結果、炎症性マーカーのうちCARが最も有用であることがわかりました。

 ニボルマブ開始時のCAR値と全生存期間の関係を統計学的に解析したところ、CARのカットオフ値は0.62という値が得られ、CAR が0.62未満の患者さんの全生存期間の中央値は14.6か月、0.62以上では6.7か月という結果が示されました。

 研究チームは本研究の以後と将来への展望として、次のように述べています。

 「今後、ニボルマブによる治療を受ける食道扁平上皮がん患者さんに対する治療効果を考える上で参考になるデータとして、本研究をもとにさらなる予後因子や効果予測因子を探索する研究が行われることが期待されます」