エンハーツ、HER2陽性進行・再発胃がんの2次治療薬としてCHMPが承認勧告
2022/12/01
文:がん+編集部
HER2陽性の治癒切除不能な進行・再発胃がんの2次治療薬として、トラスツズマブ デルクステカン(製品名:エンハーツ)は、欧州医薬品庁の医薬品委員会(CHMP)より承認を推奨する肯定的見解を示されました。
2つのDESTINY-Gastric試験で、エンハーツの有効性と安全性を確認
第一三共は2022年11月14日、トラスツズマブ(製品名;ハーセプチン)を含む前治療を受けたHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発胃がんの治療法として、トラスツズマブ デルクステカンの承認を推奨する肯定的見解をCHMPが示したことを発表しました。今回の承認申請は、DESTINY-Gastric02試験とDESTINY-Gastric01試験の結果に基づき受理されていました。
DESTINY-Gastric02試験は、1次治療としてトラスツズマブをベースとした治療を受けた切除不能または転移がある胃がんまたは胃食道接合部がん患者さん79人を対象に、トラスツズマブ デルクステカンの有効性と安全性を評価した第2相試験です。主要評価項目は全奏効率、副次的評価項目は無増悪生存期間、全生存期間、奏効期間、安全性、患者報告アウトカムなどでした。
解析の結果、全奏効率が41.8%、無増悪生存期間の中央値は5.6か月、全生存期間の中央値は12.1か月でした。安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。
DESTINY-Gastric01試験は、HER2陽性の切除不能進行・再発胃がんまたは胃食道接合部がん患者さん187人を対象に、3次治療としてトラスツズマブ デルクステカンと化学療法(イリノテカンまたはパクリタキセル)を比較した第2相試験です。主要評価項目は全奏効率、副次的評価項目は無増悪生存期間、全生存期間、安全性などでした。
全奏効率の解析では、トラスツズマブ デルクステカン51%、化学療法14%でした。全生存期間の中央値は、トラスツズマブ デルクステカン12.5か月、化学療法8.4か月でした。
同社は、次のように述べています。
「CHMPの肯定的見解は、欧州連合に承認を与えている欧州委員会への最終的な承認勧告とみなされます。本剤は、今回のCHMPによる承認勧告を受け、今後欧州委員会にて審議され、承認可否は数か月以内に決定される見込みです」