HR陽性/HER2低発現または陰性の転移性乳がん患者さんに対する、ダトポタマブ デルクステカンのデータをSABCSで発表

2022/12/26

文:がん+編集部

 固形がんを対象にダトポタマブ デルクステカン(DS-1062/Dato-DXd)を評価した第1相試験のうち、ホルモン受容体(HR)陽性かつHER2低発現または陰性転移性乳がん患者さんのデータが、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で発表されました。

客観的奏効率27%、病勢コントロール率85%、無増悪生存期間(中央値)8.3か月

 第一三共株式会社とアストラゼネカは2022年12月9日、複数の治療歴があるHR陽性かつHER2低発現または陰性の手術不能または転移性の乳がん患者さんに対する、ダトポタマブ デルクステカンのデータをSABCSで報告したことを発表しました。今回発表されたデータは、固形がんを対象にダトポタマブ デルクステカンを評価したTROPION-PanTumor01試験の乳がん患者さんを対象とした解析結果です。

 予備的有効性について、HR陽性かつHER2低発現または陰性の手術不能または転移性の乳がん患者さん41人における客観的奏効率は27%、病勢コントロール率は85%、無増悪生存期間の中央値は8.3か月でした。また、中央値13.7か月の追跡において、奏効期間および全生存期間の中央値には到達していませんでした。

 安全性については、新たな懸念は認められませんでした。グレード3以上の主な有害事象は、リンパ球数減少(15%)、口内炎(10%)および貧血(7%)などでした。間質性肺疾患については、グレード3の1人が本剤と関連のある間質性肺疾患と判定されました。

 ダトポタマブ デルクステカンは、がん細胞の細胞膜上に高発現する抗原「TROP2」と特異的に結合する抗体に、独自のリンカーを介してトポイソメラーゼⅠ阻害薬を結合させた抗体薬物複合体薬剤です。薬物をがん細胞内に直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えるよう設計されています。

 両社は、次のように述べています。

 「HR陽性かつHER2低発現または陰性の転移性乳がん患者さんに新たな治療の選択肢を提供できるよう、当該患者さんを対象とした第3相臨床試験(TROPION-Breast01)を通じて本剤の開発を加速してまいります」