ニュベクオ、遠隔転移がある前立腺がんの治療薬として国内承認

2023/03/20

文:がん+編集部

 遠隔転移がある前立腺がんの治療薬として、「ダロルタミド(製品名:ニュベクオ)」が国内承認されました。

「ニュベクオ+ADT+ドセタキセル」、「ADT+ドセタキセル」と比較して死亡リスクを32.5%低下

 バイエル薬品株式会社は2023年2月27日、経口アンドロゲン受容体阻害薬ダロルタミドについて、遠隔転移がある前立腺がんの適応追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表しました。今回の承認は、ARASENS試験の結果に基づくものです。

 ARASENS試験は、遠隔転移がある前立腺がん患者さんを対象に、「ダロルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)+ドセタキセル」併用療法と「ADT+ドセタキセル」併用療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は去勢抵抗性前立腺がんに進行するまでの期間、次の抗がん治療を開始するまでの期間、症候性骨関連事象無発現生存期間、症候性骨関連事象初回発現までの期間、オピオイド初回使用までの期間、疼痛増悪までの期間、身体症状悪化までの期間などでした。

 解析の結果、「ダロルタミド+ADT+ドセタキセル」併用療法は「ADT+ドセタキセル」併用療法と比較して、死亡リスクを32.5%低下しました。

 ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで、オンコロジー・ストラテジック事業部責任者であるクリスティーン・ロス氏は、次のように述べています。

 「前立腺がんは、日本人男性にとって最も罹患数の多いがんです。近年の進歩にもかかわらず、遠隔転移を有する前立腺がん患者さんの多くは、2~3年の内に病状が進行すると言われています。日本の前立腺がんの患者さんに、疾患の進行を遅らせ、生存期間を延長し、QOLの維持につながる可能性がある、新たな治療選択肢を提供できることを嬉しく思います。バイエルは、前立腺がんと共に生きる人々が、大切な人とより充実した時間を過ごせるよう貢献し、前立腺がんと共に生きる意味を再定義することをミッションとしています」