PD-L1発現レベル1%以上で再発リスク高い非小細胞肺がん、術前補助療法「オプジーボ+化学療法」をECが承認

2023/07/28

文:がん+編集部

 PD-L1発現レベルが1%以上で再発リスクが高い切除可能な非小細胞肺がんに対する術前補助療法として、「ニボルマブ(製品名:オプジーボ)+化学療法」併用療法を欧州委員会(EC)が承認しました。

「オプジーボ+化学療法」、化学療法と比較して病勢進行または再発、死亡リスクを37%低減

 ブリストル マイヤーズ スクイブ社は2023年6月29日、PD-L1発現レベルが1%以上で再発リスクが高い切除可能な非小細胞肺がんの術前補助療法として、「ニボルマブ+化学療法」併用療法をECが承認したことを発表しました。今回の承認は、CheckMate-816試験の結果に基づくものです。

 CheckMate-816試験は、切除可能なステージ1B~3Aの非小細胞肺がん患者さん358人を対象に、術前補助療法として、「ニボルマブ+化学療法」併用療法と化学療法を比較した第3相試験です。主要評価項目はPD-L1 の発現を問わない無イベント生存期間、病理学的完全奏効、副次評価項目は全生存期間、Major Pathological Response(MPR)、死亡または遠隔転移までの期間などでした。

 PD-L1発現レベルまたはステージにかかわらず無作為化された全患者さんを対象とした最短21か月の追跡期間の解析結果は、以下の通りです。

 主要評価項目の解析の結果、「ニボルマブ+化学療法」併用療法は化学療法と比較して、病勢進行または再発、死亡リスクを37%低減。無イベント生存期間の中央値は、それぞれ31.6か月、20.8か月でした。また、病理学的完全奏効は、「ニボルマブ+化学療法」併用療法24%に対し、化学療法は2.2%でした。

 副次的評価項目の全生存期間の解析では、「ニボルマブ+化学療法」併用療法は化学療法と比較して、死亡リスクを43%低減しました。

 安全性に関しては、これまでに認められている非小細胞肺がんに対する臨床試験の安全性プロファイルと一貫していました。

 フランス、パリにあるInstitut Curie and Paris Saclay大学、胸部腫瘍科教授であるNicolas Girard医師は、次のように述べています。

 「切除可能な非小細胞肺がん患者さんの中には手術で治癒できる方もいますが、約 30~ 55%の患者さんが手術後に再発を経験し、最終的にはこの疾患で亡くなられるため、再発を予防するのに役立つ手術以外の治療選択肢が強く求められています。EUで非転移性非小細胞肺がんの特定の患者さんの治療にオプジーボと化学療法の併用療法が承認されたことの重要性は、強調してもしすぎることはなく、がんの治療方法を変える機会を提供し、手術後のがん再発リスクを低下させる解決策を提供します」