ゾルベツキシマブ、Claudin18.2+/HER2-の切除不能な局所進行・転移性胃がんの治療薬としてFDAが優先審査指定

2023/08/01

文:がん+編集部

 Claudin18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行性または転移性胃腺がんおよび食道胃接合部腺がんの治療薬、ゾルベツキシマブについて米国食品医薬品局(FDA)が承認申請を受理、優先審査指定しました。

SPOTLIGHT試験・GLOW試験、両試験で無増悪生存期間を有意に改善

 アステラス製薬は2023年7月6日、Claudin18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行性または転移性胃腺がんおよび食道胃接合部腺がんの治療薬として、ゾルベツキシマブについての生物学的製剤承認申請書をFDAが受理し、優先審査指定したことを発表しました。今回の承認申請は、SPOTLIGHT試験およびGLOW試験の結果に基づくものです。

 SPOTLIGHT試験は、Claudin 18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行性または転移性胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん患者さん565人を対象に、一次治療薬として「ゾルベツキシマブ+mFOLFOX6(オキサリプラチン、ホリナート、フルオロウラシル)」併用療法と「プラセボ+mFOLFOX6」を比較した第3相試験です。

 主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間、客観的奏効率、奏効期間、安全性、忍容性、生活の質などでした。

 解析の結果、「ゾルベツキシマブ+mFOLFOX6」併用療法は「プラセボ+mFOLFOX6」と比較して、病勢進行または死亡リスクを24.9%低下。無増悪生存期間の中央値は、それぞれ10.61か月と8.67か月でした。また、「ゾルベツキシマブ+mFOLFOX6」併用療法は「プラセボ+mFOLFOX6」と比較して、死亡リスクを25%低下。全生存期間の中央値は、それぞれ18.23か月と15.54か月でした。

 「ゾルベツキシマブ+mFOLFOX6」併用療法と「プラセボ+mFOLFOX6」の重篤な有害事象の発現割合は、それぞれ44.8%と43.5%で、これまでの試験と一致していました。最も発現頻度の高かった有害事象は、悪心(82.4%:60.8%)、嘔吐(67.4%:35.6%)、食欲減退(47.0%:33.5%)でした。

 GLOW試験は、Claudin 18.2 陽性、HER2 陰性、切除不能な局所進行性または転移性の胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん患者さん507人を対象に、一次治療として「ゾルベツキシマブ+CAPOX (カペシタビンとオキサリプラチン)併用療法と「プラセボ+CAPOX」を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次評価項目は全生存期間、客観的奏効率、奏効期間、安全性、忍容性、生活の質などでした。

 解析の結果、「ゾルベツキシマブ+CAPOX」併用療法は「プラセボ+CAPOX」と比較して、病勢進行または死亡リスクを31.3%低下。無増悪生存期間の中央値は、それぞれ8.21か月と6.80か月でした。また、「ゾルベツキシマブ+CAPOX」併用療法は「プラセボ+CAPOX」と比較して、死亡リスクを22.9%低下。全生存期間の中央値は、それぞれ14.39か月と12.16か月でした。

 「ゾルベツキシマブ+CAPOX」併用療法と「プラセボ+CAPOX」の重篤な有害事象の発現割合は、それぞれ47.2%と49.8%で、これまでの試験と一致していました。最も発現頻度の高かった有害事象は、悪心(68.5%:50.2%)、嘔吐(66.1%:30.9%)、食欲減退(41.3%:33.7%)でした。

 同社は、次のように述べています。

 「アンメットメディカルニーズの高い胃腺がんおよび食道胃接合部腺がんに苦しむ患者さんに新たな治療選択肢を提供することを目指しています」