ヴァンフリタ、FLT3-ITD変異がある急性骨髄性白血病の一次治療薬としてFDAが承認

2023/08/21

文:がん+編集部

 FLT3-ITD変異がある急性骨髄性白血病の一次治療薬として、ギザルチニブ(製品名:ヴァンフリタ)が、米国食品医薬品局(FDA)から承認されました。

「ヴァンフリタ+標準化学療法」、「プラセボ+標準化学療法」と比較して死亡リスクを22.4%減少

 第一三共株式会社は2023年7月31日、ギザルチニブがFLT3-ITD変異を有する急性骨髄性白血病の一次治療薬としてFDAから承認されたことを発表しました。今回の承認は、QuANTUM-First試験の結果に基づくものです。

 QuANTUM-First試験は、FLT3-ITD変異がある急性骨髄性白血病患者さん539人を対象に、「ギザルチニブ+標準化学療法」と「プラセボ+標準化学療法」を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、副次的評価項目は複合的完全寛解率、完全寛解率、無イベント生存期間などでした。

 解析の結果、「ギザルチニブ+標準化学療法」は「プラセボ+標準化学療法」と比較して死亡リスクを22.4%低減。全生存期間の中央値は、それぞれ31.9か月と15.1か月でした。副次評価項目である複合完全寛解率と完全寛解率は、「ギザルチニブ+標準化学療法」では71.6%と54.9%、「プラセボ+標準化学療法」では64.9%と55.4%でした。完全寛解持続期間の中央値は、「ギザルチニブ+標準化学療法」では38.6か月、「プラセボ+標準化学療法」では12.4か月でした。また、無イベント生存期間は統計学的有意差がみられませんでした。

 安全性に関しては、新たな懸念は認められませんでした。「ギザルチニブ+標準化学療法」と「プラセボ+標準化学療法」で認められたグレード3以上の主な有害事象は、それぞれ発熱性好中球減少症(43.4%、41.0%)、好中球減少症(18%、8.6%)、低カリウム血症(18.9%、16.4%)、肺炎(11.7%、12.7%)でした。

 同社は、次のように述べています。

 「本剤は、FDAにより、急性骨髄性白血病一次治療における寛解導入療法期、地固め療法期及び維持療法期を通して承認された初めてのFLT3阻害剤です。今後数週間以内に米国にて販売を開始いたします。当社は、FLT3-ITD変異を有する急性骨髄性白血病治療における新たな選択肢を提供することで、米国の急性骨髄性白血病患者さんに貢献してまいります」