EGFR陽性非小細胞肺がんの3次治療として、パトリツマブ デルクステカンを評価した臨床試験の結果を発表

2023/10/12

文:がん+編集部

 EGFR遺伝子変異がある非小細胞肺がんの3次治療として、パトリツマブ デルクステカンを評価したHERTHENA-Lung01試験の結果が発表されました。

パトリツマブ デルクステカン、抗HER3抗体とトポイソメラーゼ阻害薬を結合させた抗体薬物複合体

 第一三共株式会社は2023年9月11日、HERTHENA-Lung01試験の結果を世界肺がん学会で報告したことを発表しました。

 HERTHENA-Lung01試験は、「EGFR-TKI+プラチナ製剤」併用での治療後に病勢進行した、EGFR遺伝子変異がある転移性または局所進行性の非小細胞肺がん患者さん225人を対象に、3次治療としてパトリツマブ デルクステカンを評価した第2相試験です。

 パトリツマブ デルクステカンは、抗HER3抗体とトポイソメラーゼ阻害薬を結合させた抗体薬物複合体です。

 解析の結果、客観的奏効率は29.8%(完全奏効1人、部分奏効66人)、奏効期間の中央値は6.4か月、病勢コントロール率は73.8%、無増悪生存期間の中央値は5.5か月、全生存期間の中央値は11.9か月でした。

 また、放射線治療歴がなく脳転移がある患者さん30人に対する解析では、頭蓋内病変の客観的奏効率は33.3%(完全奏効9人、部分奏効1人)、頭蓋内奏効の奏効期間の中央値は8.4か月でした。

 安全性に関しては、これまでの安全性プロファイルと同様の傾向でした。グレード3以上の有害事象は64.9%で認められ、主なものは血小板減少症(21%)、好中球減少症(19%)、貧血(14%)などでした。間質性肺疾患に関しては、12人で認められ、グレード1が1人、グレード2が8人、グレード3が2人、グレード5(死亡)が1人でした。

 同社は、次のように述べています。

 「EGFR変異を有する非小細胞肺がん患者さんへ新たな治療の選択肢を提供できるよう、本試験結果に基づき、2023年度下半期を目標に申請準備を進めている米国を含め、引き続き規制当局との協議を進めてまいります」