ステージ2~4Aの胃がんを対象に「イミフィンジ+化学療法」を評価したMATTERHORN試験の結果を発表

2023/12/13

文:がん+編集部

 切除可能な局所進行性の胃がん・食道胃接合部がんを対象に、「デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)+化学療法」を評価したMATTERHORN試験の結果を発表。病理学的完全奏効率の改善が認められました。

「イミフィンジ+化学療法」、化学療法と比較して完全奏効率が2倍以上改善

 アストラゼネカは2023年10月20日、MATTERHORN試験の中間解析結果を発表しました。

 MATTERHORN試験は、切除可能なステージ2~4Aの胃がん・食道胃接合部がんの患者さんを対象に、周術期治療としてデュルバルマブを評価した第3相試験です。周術期治療には、手術前と後(術前・術後)の治療が含まれます。この試験では、術前にFLOT(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)による化学療法にデュルバルマブを追加し、術後にはデュルバルマブでの治療を行う「デュルバルマブ+化学療法」と、術前にFLOTでの化学療法、術後にはプラセボでの治療を行う「術前化学療法単独」が比較されました。主要評価項目は無イベント生存期間、重要な副次的評価項目は病理学的完全奏効率、全生存期間などでした。

 中間解析の結果、「デュルバルマブ+化学療法」は術前化学療法と比較して統計学的に有意な病理学的完全奏効率の改善が認められました。それぞれの病理学的完全奏効率は、19%と7%でした。

 「デュルバルマブ+化学療法」の安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫していました。全ての原因によるグレード3以上の有害事象はほぼ同じであり、「デュルバルマブ+化学療法」で治療された患者さんの発現割合は69%、術前化学療法単独での発現割合は68%でした。

 ニューヨークにあるSloan Kettering記念がんセンターの消化器腫瘍内科主任医師であり、同試験の治験責任医師であるYelena Janjigian氏は、次のように述べています。

 「切除可能な胃がん/食道胃接合部がん患者さんにおいて、治癒目的に手術を行ったとしても多くが再発します。今回のMATTERHORN試験の中間解析結果で示された病理学的完全奏効率は、FLOT療法にイミフィンジを追加することが、周術期に必要とされている新たな治療法となり得るという希望につながります」