進行性固形がん・血液がんを対象に経口STAT3阻害薬「VVD-130850」を評価する第1相試験を開始

2024/04/03

文:がん+編集部

 進行性固形がん、血液がんを対象に、経口STAT3阻害薬「VVD-130850」を評価する第1相試験において、被験者への投与が開始されました。

VVD-130850、新規のアロステリック部位に結合する経口低分子STAT3阻害薬

 独バイエル社の完全子会社Vividion社は2024年2月6日、進行性固形がん・血液がんの治療薬として開発しているVVD-130850を評価する第1相試験で被験者への投与を開始したことを発表しました。

 VVD-130850は、新規のアロステリック部位に結合する経口低分子STAT3阻害薬で、がん細胞におけるSTAT3標的遺伝子のDNA結合と発現を直接阻害します。今回開始された第1相試験では、進行性固形がんおよび血液がん患者さんを対象に、VVD-130850単剤および免疫チェックポイント阻害薬との併用に関して、VVD-130850の安全性、忍容性、薬物動態、薬力学および予備的な抗腫瘍活性が評価されます。

 Vividion社最高経営責任者のアレクサンドラ・リゾ氏は、次のように述べています。

 「当社のSTAT3阻害薬プログラム初となる臨床試験の開始と投薬は、当社にとって大きな転換点です。本プログラムは当社のプラットフォームを活用した2つ目のプログラムであり、わずか数か月で臨床試験に進みました。広く知られたがんや免疫疾患に対し、これまで創薬不可能とされてきた標的タンパク質からなるパイプラインを比較的短期間で進展させることができ、誇りに思います」

 また、独バイエル社医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで、研究開発責任者のクリスチャン・ロンメル氏は、次のように述べています。

 「当社はVividion社の革新的なケモプロテオミクス創薬技術を活用し、疾患の進行を抑えたり、止めたりする可能性のある注目度の高いがんの標的に対応する新しい治療法を開発しています。何百万人もの患者さんとそのご家族にとって、がんは深刻な病気であり続けており、腫瘍細胞の生存と増殖の主要な要因に対処する新しい治療法が必要とされています。Vividion社のSTAT3阻害薬プログラムの臨床試験開始により、われわれはがん患者さんにとって意義のある新しい治療法に一歩近づきました」