水虫が足の裏のメラノーマ(悪性黒色腫)の発生と相関することを発見

2024/06/04

文:がん+編集部

 水虫(足白癬)が足の裏のメラノーマ(悪性黒色腫)の発生と相関することが発見されました。水虫治療や予防が、足底に発生するメラノーマの予防につながると期待されます。

水虫の治療や予防、足底のメラノーマ予防につながる可能性

 東京慈恵会医科大学は2024年5月16日、水虫が足底のメラノーマの発生と相関することを発見したと発表しました。同大学皮膚科学講座の延山嘉眞教授らの研究グループによるものです。

 これまで、足底のメラノーマの発生には物理的な刺激との相関が想定されていました。研究グループは、ヘリコバクター・ピロリ菌感染と胃がんのように、白癬菌の感染症である水虫によりがんが発生する可能性があると考え、足底のメラノーマ患者さん30人と足底のメラノーマ以外の皮膚病変がある患者さん84人の足底の顕微鏡検査を実施。

 その結果、メラノーマ患者さんの60.0%、非メラノーマ患者さんの 29.8%が水虫に罹患していることがわかりました。非メラノーマ患者さんは水虫の症状があるため受診した患者さんを含んでいるにもかかわらず、メラノーマ患者さんの方が高確率で水虫に罹患していました。この結果は、水虫への罹患が足底メラノーマの発生に関与している可能性を示唆しており、水虫の治療や予防により、これまで困難とされてきた足底に発生するメラノーマの予防につながることが期待されます。

 研究グループは今後の展開として、次のように述べています。

 「この結果について、足底悪性黒色腫の予防のために広く国内外に啓蒙する予定です。同時に、白癬と発がんの関連を分子レベルで解明したいと考えています」