淡明細胞型腎細胞がん対象、放射性医薬候補品「64Cu-PD-32766」を評価する特定臨床研究を開始

2024/07/03

文:がん+編集部

 淡明細胞型腎細胞がんの患者さんを対象に、放射性医薬候補品64Cu-PD-32766を評価する特定臨床研究が開始されました。

64Cu-PD-32766、がん抗原CA9に特異的に結合するペプチド「PD-32766」と診断用の放射性核種「64Cu」を結合させた薬剤

 国立がん研究センターとペプチドリーム株式会社は2024年6月4日、「淡明細胞型腎細胞がん患者を対象とした64Cu-PD-32766の早期臨床試験(特定臨床研究)」を開始したことを発表しました。

 今回の特定臨床研究は、淡明細胞型腎細胞がんの初発および再発または再発疑い患者さんを対象に、64Cu-PD-32766によるPET/CT検査の安全性、薬物動態、被ばく線量を評価する第1相試験です。主要評価項目は、患者さんごとのPETでの集積陽性率、副次的評価項目は、病変ごとのPETでの集積陽性率、安全性、薬物動態、推定被ばく線量などです。

 64Cu-PD-32766は、淡明細胞型腎細胞がんに高発現(95%以上)する細胞表面のがん抗原CA9に特異的に結合するペプチド「PD-32766」と診断用の放射性核種「64Cu」を結合させた薬剤です。

 この特定臨床研究では、64Cu-PD-32766によりPETイメージングのデータを取得することで、診断的有用性に関する情報を得られることに加え、治療用同位体で標識した際の治療効果の可能性に関する初期的な見解を得ることを目的としています。

 同研究センター東病院の土井俊彦病院長は、次のように述べています。

 「本特定臨床研究において64Cu-PD-32766が最初の淡明細胞型腎細胞がんの患者さんへの投与にまで至ったことを大変喜ばしく思っています。我々のミッションは日本における主要ながん拠点として、患者さんに革新的な治療を提供し、日本の医療を改善していくことです。ペプチドリームグループのがんを標的としたペプチドと診断・治療に活用できる放射性核種を組み合わせることは淡明細胞型腎細胞がんの患者さんに非常に有望な、新たな診断・治療法となる可能性があると期待しています」