デュルバルマブ、切除不能なステージ3の非小細胞肺がんの適応でFDAが承認
2018/02/27
文:がん+編集部
無増悪生存期間中央値を11.2か月延長
英アストラゼネカは2月17日、デュルバルマブ(日本未承認)について、プラチナ製剤を用いた根治的同時化学放射線療法(CRT)後に病勢の進行が認められなかった切除不能なステージ3の非小細胞肺がん(NSCLC)の適応で、米国食品医薬品局(FDA)が承認したと発表しました。
デュルバルマブは、がん細胞に発現したPD-L1を標的とした新しい免疫チェックポイント阻害剤です。T細胞に発現したPD-1やCD80の相互作用も阻害することで、がん細胞が免疫細胞からの攻撃を逃れられないように働きます。
今回の承認は、第3相臨床試験「PACIFIC試験」の結果に基づくものです。試験の結果、デュルバルマブはプラセボとの比較で無増悪生存期間の中央値を11.2か月延長し、PD-L1の状況にかかわらず、全ての対象集団でプラセボに対して、病勢進行または死亡の相対リスクを48%低減したといいます。PACIFIC試験は、切除不能なステージ3のNSCLC患者さんの全生存期間を評価する目的で継続しています。また、有害事象の発現率と重症度は、全般的に、デュルバルマブ投与群とプラセボ投与群で同様だったとしています。
米National Comprehensive Cancer Network(NCCN)腫瘍学臨床診療ガイドラインの2017年9月28日の改訂では、CRTを2サイクル以上実施した後に病勢進行が認められなかった切除不能ステージ3のNSCLC患者さんの治療薬として、デュルバルマブが収載されました。
H・リー・モフィットがんセンター・研究所の胸部腫瘍学部部長で、PACIFIC試験の国際治験調整医師のScott J. Antonia氏は、「これまでの治療ガイドラインでは、切除不能なステージ3の肺がん患者さんに対して、病勢進行までは同時化学放射線療法後に、無治療経過観察を続けることが推奨されてきました。しかし、患者さんの89%は病勢が進行し転移することから、病勢が進行するまでの時間をより長く延長させることが出来る新たな選択肢が出てきたことは重要な意義を持ちます」とコメントしています。