【週刊】がんプラスPickupニュース(2024年11月11日)

2024/11/11

文:がん+編集部

再発低悪性度漿液性卵巣がんを対象にアブトメチニブを評価したRAMP201試験の最新データを発表

 Verastem Oncology社は2024年10月17日、RAMP201試験の最新データを発表しました。RAMP 201試験は、再発低悪性度漿液性卵巣がんを対象に、アブトメチニブ単剤およびデファクチニブとの併用による有効性と安全性を評価した第2相試験で、併用療法における追跡期間12か月の解析結果が報告されました。全奏効率は、全患者さん31%、KRAS変異陽性の患者さん44%、KRAS野生型の患者さん17%でした。奏効期間(中央値)は、全患者さん31.1か月、KRAS変異陽性の患者さん31.1か月、KRAS野生型の患者さん9.2か月でした。無増悪生存期間(中央値)は、全患者さん12.9か月、KRAS変異陽性の患者さん22か月、KRAS野生型の患者さん12.8か月で、6か月以上の病勢コントロール率は全患者さん61%、KRAS変異陽性の患者さん70%、KRAS野生型の患者さん50%でした。忍容性は良好で、有害事象による中止率は10%でした。新たな安全性シグナルは確認されませんでした。

難治性トリプルネガティブ乳がんに対する新たな標的分子の同定に成功

 東京科学大学は2024年10月28日、乳がん幹細胞様集団に特異的に発現し乳がん幹細胞性を制御するRNA結合タンパク質として「ZCCHC24」を発見したことを発表しました。今回発見されたZCCHC24の働きを調べた結果、乳がん幹細胞性を特徴づける遺伝子群のmRNA配列を認識し結合することで、mRNAを安定化し遺伝子発現を上昇させるメカニズムが判明。さらに、ZCCHC24は「ZEB1」という別の因子と相互作用して、お互いの働きを強め合っていることも明らかになりました。この相互作用が、がん幹細胞の性質を維持する仕組みの一部となっています。この研究結果から、トリプルネガティブ乳がんの新たな治療法の開発が期待されます。

小細胞肺がんの新たな治療法として「ATR阻害薬+抗PD-L1抗体」併用療法の有効性を確認

 長崎大学は2024年10月31日、難治性の小細胞肺がんに対する「ATR阻害薬+抗PD-L1抗体」併用療法の有効性を、細胞株や動物を用いた実験で確認したことを発表しました。研究グループがデータベースを用いた解析を実施したところ、小細胞肺がんにおいて細胞周期を調節する分子の1つであるATRの発現が高いことが判明。このATRを阻害することで、がん細胞の細胞死を誘導することに成功しました。また、ATR阻害薬による治療が、がん免疫の活性化を促進し、腫瘍を攻撃するリンパ球が腫瘍内に浸潤することも確認されました。さらに、ATR阻害薬が抗PD-L1抗体との併用療法でより効果が高まることも示されました。