【週刊】がんプラスPickupニュース(2025年3月31日)
2025/03/31
文:がん+編集部
大腸がん予防につながる新たな内視鏡診断法の開発に成功
岡山大学は2025年3月14日、大腸がんの発生に関与する大腸ポリープの検出率を向上させる新技術の開発に成功したことを発表しました。
右側大腸における大腸ポリープのひとつである「鋸歯状病変」は、大腸の内壁に生じるのこぎり歯状の形をした特徴的な病変で、予後不良な右側大腸がんの発生に深く関与しています。しかし、鋸歯状病変は平坦で粘液に覆われているため、従来の白色光内視鏡観察では検出が困難とされてきました。
今回、同大学病院を含む国内9施設で、酢酸・インジゴカルミン混合液を用いた色素内視鏡観察と白色光内視鏡観察またはインジゴカルミンのみの内視鏡観察を比較した臨床試験を実施。その結果、酢酸・インジゴカルミン混合液を用いた色素内視鏡観察では、鋸歯状病変の追加検出率に有意な向上が認められました。この結果により、酢酸・インジゴカルミン混合液を用いることで、従来の手法では見逃されていた病変をより効果的に検出できることが示されました。
キイトルーダ、切除可能な局所進行頭頸部がんに対する周術期治療として国内申請
MSDは2025年3月21日、ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)について、切除可能な局所進行頭頸部扁平上皮がんに対する周術期治療での承認申請を行ったことを発表しました。今回の申請は、KEYNOTE-689試験のデータに基づくものです。
同試験では、周術期ペムブロリズマブ療法として、術前補助療法のペムブロリズマブ投与、術後補助療法としてペムブロリズマブと標準治療の放射線治療(±シスプラチン)の併用療法、さらに維持療法としてペムブロリズマブの投与が行われました。試験の結果、周術期ペムブロリズマブ療法では標準治療と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意味のある無イベント生存期間の改善が認められました。
小細胞肺がん、新たな治療法開発につながる転写因子発現メカニズムを解明
浜松医科大学は2025年3月19日、小細胞肺がんの新たな治療戦略につながる、転写因子の発現メカニズムを解明したと発表しました。
転写因子とは、DNAに結合して特定の遺伝子の転写を調節するタンパク質であり、その中でも細胞の運命決定に関与する重要な転写因子は「形質制御転写因子」と呼ばれます。小細胞肺がんは「ASCL1、NEUROD1、POU2F3、ATOH1、YAP1」といった形質制御転写因子の発現プロファイルに基づいた分類が提唱され、個別化医療の実現が期待されていますが、これらの転写因子の機能や臨床的意義は十分に解明されていませんでした。
研究グループは、小細胞肺がんの手術検体151例および細胞株を用いて解析を実施。その結果、ASCL1とNEUROD1の2つの転写因子が、お互いを阻害・抑制するような関係(相互排他的)であることを明らかにしました。小細胞肺がん細胞株においてASCL1とNEUROD1を同時に発現させたところ、細胞死の一つであるアポトーシスが誘導されるとわかりました。
今回の成果により、病態を理解する新たな知見が得られ、形質制御転写因子の相互排他性を標的とした新たな治療法開発につながる可能性が示されました。