CAR-T療法 再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫に対してFDAが承認

文:がん+編集部

 がん細胞を攻撃するように遺伝子を導入した免疫細胞療法であるCAR-T療法が、米国で、2ライン以上の全身療法を行った後の再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の成人患者さんの治療としての適応が追加されることがわかりました。

がん細胞を攻撃するように遺伝子を導入した免疫細胞療法

 スイス・ノバルティスは5月1日、CAR-T療法であるCTL019(チサゲンレクロイセル(製品名:キムリア))について、米国食品医薬品局(FDA)がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、高悪性度B細胞リンパ腫および濾胞性リンパ腫から生じたDLBCLなど、2ライン以上の全身療法を行った後の再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の成人患者さんの治療としての適応追加に対して、承認したと発表しました。中枢神経系原発悪性リンパ腫患者さんの治療は対象外です。

 DLBCLは、非ホジキンリンパ腫(NHL)の中でも発生頻度の高いリンパ腫です。再発患者さんや初期治療の効果がみられない患者さんにとって、持続的な効果が得られる治療選択肢は限られており、平均余命の中央値は約6か月とされています。

 CAR-T療法のCTL019は、患者さん自身の血液から採取したT細胞を、がん細胞やその他の細胞に発現するCD19を認識してがん細胞を攻撃するように遺伝子を導入した免疫細胞療法です。

 今回のFDAの承認は、再発・難治性DLBCLの成人患者さんを対象として初めて実施されたCTL019の多施設国際共同治験の第2相JULIET臨床試験に基づくものです。

 この試験は、日本も含む10か国27施設から患者さんを登録し、DLBCLを対象にして行われました。CTL019は全奏効率(ORR)50%を示し(95%信頼区間[CI]、38%-62%)、有効性について評価した68人の患者さんのうち、32%が完全奏効(CR)を、18%が部分奏効(PR)を達成したそうです。

 CTL019を輸注した患者さんは、106名でした。重症または生命を脅かすサイトカイン放出症候群(CRS)(グレード3または4)は、患者さんの23%で認められました。CRSは、呼吸困難、発熱、悪寒、重症の悪心、嘔吐および下痢、重症の筋肉痛または関節痛、重度の低血圧またはめまい・ふらつきなどの症状を起こすことがあります。CRSはCAR-T療法の合併症で、遺伝子操作された細胞が患者さんの体内で活性化されたときに起こる可能性があります。

 また、患者さんの11%で、CAR-T療法に伴う典型的な神経毒性である脳症が、重症または生命を脅かすレベルで認められたそうです。神経学的事象による死亡例、脳浮腫の死亡例はありませんでした。28日を超えるグレード3または4の血球減少症には血小板減少症(40%)および好中球減少症(25%)などがあり、グレード3または4の感染症は25%で認められました。JULIET試験で最も多く発生した(20%超)有害事象はCRS、感染症、発熱、下痢、悪心、疲労、低血圧、浮腫および頭痛だったとしています。

※悪性リンパ腫は、リンパ節などリンパ系の組織ががん化するものですが、脳を中心とした中枢神経に発生し、ほかの組織に影響を与えないものを中枢神経系原発悪性リンパ腫といいます。そのほとんどがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫ですが、今回は適応外とされました。