BRCA遺伝子変異陽性の進行卵巣がん対象の第3相臨床試験で無増悪生存期間を延長

2018/07/04

文:がん+編集部

 BRCA遺伝子変異陽性の進行卵巣がん患者さんを対象としたオラパリブの第3相臨床試験の結果、統計学的に有意な無増悪生存期間(PFS)の延長が示されました。日本での適応拡大が期待されます。

オラパリブの1次治療後の維持療法を検討

 英アストラゼネカ社と米メルク社は6月27日、オラパリブ(製品名:リムパーザ)第3相臨床試験SOLO-1試験の結果を発表しました。

 SOLO-1試験は、BRCA遺伝子変異陽性(BRCAm)進行卵巣がん患者さんを対象に、オラパリブ単剤療法の1次治療後の維持療法としての有効性と安全性をプラセボと比較評価する試験です。プラチナ製剤を含む化学療法による1次治療後の維持療法として、オラパリブの投与を受けたBRCAm進行卵巣がん患者さんは、統計学的に有意な無増悪生存期間(PFS)※1の延長を示したそうです。オラパリブの安全性と忍容性※2は、過去の試験の結果と変わりなかったとしています。

 BRCA1とBRCA2は、損傷したDNAの修復に関わるタンパク質を生成するヒト遺伝子で、細胞内遺伝子の安定性維持に重要な役割を果たします。これらの遺伝子のいずれかに変異があると、損傷されたDNAが適切に修復されない可能性があり、がんを発症するリスクが遺伝子変異のない人に比べて高くなります。オラパリブは、BRCA遺伝子変異などのDNA損傷応答経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導する治療薬です。

 オラパリブは、BRCA遺伝子変異の有無を問わず、プラチナ瀬在感受性の差初卵巣がんの維持療法としての承認は取得していますが、BRCAm進行卵巣がんの1次維持療法としての適応は、日本では未承認です。

※1 奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。 ※2 薬による有害事象副作用)に、どのくらい耐えられるかの程度を認容性といい、有害事象に十分耐えられるときは「忍容性が高い」、耐えられないときは「忍容性が低い」と表現されます。