BRAFV600遺伝子変異陽性の悪性黒色腫、新たな治療薬が欧州で承認推奨

2018/08/03

文:がん+編集部

 BRAFV600遺伝子変異陽性の悪性黒色腫に対する治療薬として、エンコラフェニブとビニメチニブ併用療法が、欧州で承認推奨の見解を示されました。日本での承認も期待されます。

エンコラフェニブとビニメチニブ、日本では2018年4月に承認申請済み

 米アレイバイオファーマ社は7月27日、エンコラフェニブ(米国製品名:BRAFTOVI)とビニメチニブ(米国製品名:MEKTOVI)の併用療法について、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)が、BRAFV600遺伝子変異陽性の切除不能または転移性の悪性黒色腫の成人患者さんの治療薬としての承認を推奨する肯定的な見解を示したことを発表しました。

 今回の肯定的見解は、第3相臨床試験COLUMBUS試験の結果に基づくものです。この試験の結果、無増悪生存期間※1の中央値(mPFS)は、ベムラフェニブ(製品名:ゼルボラフ)群の7.3か月に対して、エンコラフェニブとビニメチニブ併用療法群では14.9か月だったそうです。また、2018年6月に発表された最新の解析結果では、全生存期間(OS)※2の中央値について、ベムラフェニブ群の16.9か月に対し、エンコラフェニブとビニメチニブ併用療法では33.6か月でした。

 今回の試験では、エンコラフェニブとビニメチニブ併用療法を受けた患者さんの5%が、副作用のため投与を中止しました。エンコラフェニブとビニメチニブ併用療法を受けた患者さんで、共通して報告された副作用は、疲労、悪心、下痢、嘔吐、腹痛、関節痛だったとしています。

 エンコラフェニブとビニメチニブは、米国以外の国では承認されていません。日本では、2018年4月に「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として、エンコラフェニブとビニメチニブの国内製造販売承認申請を行っています。欧州で承認された場合、日本での承認も期待されます。

※1 奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※2 患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。