青魚などに含まれる「オメガ3系脂肪酸」が、がんの再発不安を軽減?

2018/09/27

文:がん+編集部

 魚などに含まれる「オメガ3系脂肪酸」に、不安を和らげる効果があることが明らかになりました。再発への不安を抱えるがん患者さんの不安軽減対策として応用が期待されます。

オメガ3系脂肪酸1日に2,000mg以上摂取で不安症状を軽減

GGN病変
画像はリリースより

 国立がん研究センターは9月15日、青魚などに含まれる「オメガ3系脂肪酸」を摂取することで、不安症状が軽減すること、身体疾患や精神疾患患者さんではその効果が高いことを明らかにしたと発表しました。この研究は、「JAMA Network Open」で発表されました。

 がんサバイバーの多くが再発への不安を抱えており、不安を和らげるための科学的根拠に基づく安全で簡便な対策が求められています。

 代表的なオメガ3系脂肪酸には、植物由来のアルファリノレン酸、海洋由来のエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)があります。近年、イワシ・サバ・サンマなどの青魚に多く含まれるオメガ3系脂肪酸と不安の関連を調べる研究が行われており、オメガ3系脂肪酸の抗不安効果の検討が関心を集めています。マウスを対象とした実験では、オメガ3系脂肪酸を多く含むエサを習慣的に食べさせると、恐怖体験について思い出したときの怖いという感覚が和らぐことが見出されています。しかし、これまで報告された臨床研究はサンプル数が少なく、研究によって結果のばらつきが大きく、オメガ3系脂肪酸が不安症状の軽減に効果があるかどうかについて明らかではありませんでした。

 今回の研究では、不安症状を抱える2,240名を対象とした19件の臨床研究をもとに検討が行われました。その結果、オメガ3系脂肪酸を摂取した人はオメガ3系脂肪酸を摂取していない人と比較して、不安症状が軽減されることが明らかになったそうです。身体疾患や精神疾患患者さんでは、不安症状の軽減効果が大きいことが示されました。また、オメガ3系脂肪酸を少なくとも1日に2,000mg摂取した場合に、不安症状の軽減効果が認められたそうです。

 国立がん研究センターは今後、身体疾患や精神疾患患者さんを対象とした大規模な臨床試験を実施することで、オメガ3系脂肪酸による不安症状の軽減効果の検証が期待されるとしています。