DS-8201、大腸がん対象の第1相臨床試験の最新データを公開

2018/10/25

文:がん+編集部

 大腸がん患者さんを対象としたDS-8201の第1相臨床試験の最新データが発表されました。HER2が過剰に発現している患者さんで、腫瘍の縮小が見られたそうです。

腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者さんの割合15.8%

 第一三共株式会社は10月22日、抗体薬物複合体(ADC)「DS-8201」(trastuzumab deruxtecan:トラスツズマブ デルクステカン)について、大腸がん患者さんを対象とした第1相臨床試験の最新データを発表しました。最新データは、欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2018)で発表されました。

 試験の結果、前治療を受けた再発・進行性大腸がん患者さん19名において、全奏効率(ORR)※1は15.8%、病勢コントロール率(DCR)※2は84.2%、無増悪生存期間(PFS)※3の中央値は3.9か月でした。また、対象患者さん19名のうち6名はHER2発現が確認できない患者さんであり、腫瘍の縮小は、HER2過剰発現の患者さんに見られたそうです。

 安全性については、前治療を受けたHER2発現患者さん259名において、グレード3以上の有害事象は54.1%、重篤な有害事象は22.8%、原因を問わず死亡に至った有害事象は4.6%でした。

 DS-8201は、HER2に対するADCです。ADCは、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して、薬物をがん細胞へ直接届けるため、薬物による副作用を抑えつつ、がん細胞への攻撃力を高めた薬剤のことです。現在、HER2発現の再発・進行性大腸がん患者さんを対象とした、DS-8201の第2相臨床試験が行われています。

※1 腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者さんの割合です。
※2 全奏効率に、腫瘍が安定している状態(腫瘍が30%未満減少~20%未満増加)の患者さんの割合を加えたものです。
※3 奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。