アナモレリンが承認申請 がん悪液質に効果

2018/12/06

文:がん+編集部

 がん悪液質で起こる体重減少や食欲不振を改善する薬剤の国内承認申請を行いました。承認されれば、がん悪液質に対する初の薬剤となります。

体重、筋肉量、食欲の増加を示すがん悪液質初の治療薬

  小野薬品工業株式会社は11月27日、グレリン操作用薬アナモレリン(開発コード:ONO-7643)の「がん悪液質における体重減少及び食欲不振の改善」の効能・効果で国内承認申請を行ったことを発表しました。今回の申請は、ONO-7643-04試験ONO-7643-05試験の2つの臨床試験の結果に基づくものです。

 ONO-7643-04試験は、非小細胞肺がんに伴うがん悪液質で体重減少があった患者さんを対象として、アナモレリンとプラセボと比較した多施設共同二重盲検無作為化平行群間比較の第2相臨床試験です。ONO-7643-05試験は、大腸がん胃がん膵臓がんに伴うがん悪液質で体重減少があった患者さんにアナモレリンを投与した多施設共同非盲検非対照の第3相試験です。

 がん悪液質は、がん患者さんにみられる筋肉量の減少や体重減少、食欲不振を特徴とする代謝異常症候群です。生活の質(QOL)の低下や予後の悪化につながりますが、有効な治療法はありませんでした。

 アナモレリンは、新しい経口グレゴリン様作用薬です。グレゴリンは、主に胃から分泌されるペプチドで、受容体に結合すると、体重、筋肉量、食欲、代謝を調節する複数の経路を刺激します。アナモレリンは、がん悪液質の患者さんに対して、筋肉量や体重、食欲の増加効果を示しており、がん悪液質初の治療薬として期待されています。

ONO-7643-04試験

対象:非小細胞肺がん
条件:悪液質で体重減少が認められた患者
フェーズ:第2相試験
試験デザイン:多施設共同二重盲検無作為化並行群間比較試験
登録数:170
試験群:アナモレリン
対照群:プラセボ
主要評価項目:有効性、安全性

ONO-7643-05試験

対象:大腸がん、胃がん、膵臓がん
条件:悪液質で体重減少が認められた患者
フェーズ:第3相試験
試験デザイン:多施設共同非盲検非対照試験
登録数:50
試験群:アナモレリン
主要評価項目:有効性、安全性、薬物動態