希少がん内膜肉腫、世界初の治験開始

文:がん+編集部

 内膜肉腫という希少がんに対する世界初の治験が開始されました。MDM2をターゲットとしたMDM2阻害薬ミラデメタンの有効性が評価されます。

がん種を問わず遺伝子変異をターゲットとしたバスケット試験の1つとして実施

 国立がん研究センター中央病院は2月4日、希少がんの1つである内膜肉腫を対象とした、新規のMDM2阻害薬ミラデメタンの医師主導治験「MADAME PRINCESA」試験を開始したことを発表しました。この治験は、希少がんの疾患登録とバスケット試験で構成された産学共同プロジェクト「MASTER KEY project」の1つとして行われます。バスケット試験は、標的となる遺伝子変異のある希少がん患者さんなら、がん種に関係なく参加できる臨床試験です。

 MADAME PRINCESA試験は、MDM2遺伝子の増幅がある内膜肉腫を対象とした第2相臨床試験です。ミラデメタン単独投与したときの、奏効例数、奏効割合、病勢コントロール割合、無増悪生存期間※1、全生存期間※2、有害事象発現割合などで評価します。

 内膜肉腫は、希少がんの中でも患者数が少ない疾患で、心臓や肺動脈など血液循環で重要な臓器付近に発生する予後不良の悪性腫瘍です。遠隔転移がなければ、外科的切除が第1選択ですが、多くの場合は肺動脈や大動脈などの血管が原発巣になることから完全切除が困難で、標準的な治療法はまだ確立できていません。

 内膜肉腫の約60~80%にMDM2遺伝子の増幅が認められています。MDM2遺伝子が増幅することで、MDM2たんぱくが過剰発現したり活性化したりすることで、がん抑制遺伝子であるp53の作用が制御され、腫瘍の形成や増殖が生じる可能性が示唆されています。MDM2阻害薬であるミラデメタンは、MDM2とp53の結合を阻害することでp53を活性化し、p53によるがん細胞死の誘導することで抗腫瘍効果を発揮します。

 希少がんは、各がん種の患者数が少なくまとまったデータがないことから、研究開発や臨床試験の実施が困難です。こうしたバスケット試験により、希少がんの新たな治療法の開発が期待されます。

MADAME PRINCESA試験

対象:内膜肉腫
条件:MDM2遺伝子増幅がある患者
フェーズ:第2相臨床試験
試験デザイン:単独、非盲検
登録数:10
試験群:ミラデメタン
主要評価項目:奏効例数
副次的評価項目:奏効割合、病勢コントロール割合、無増悪生存期間、全生存期間、有害事象発現割合など

※1:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※2:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。