免疫チェックポイント阻害薬抵抗性のがんでも治療の可能性

文:がん+編集部

 がんの免疫療法抵抗性の克服に成功したと発表されました。免疫チェックポイント阻害薬に抵抗性を示すがんの治療につながる可能性があります。

難治性軟部肉腫対する1/2相医師主導治験を実施中

 京都大学は2月12日、ナノゲルデリバリーという技術を使うことで、がんの免疫療法抵抗性の克服に成功したと発表しました。同大工学研究科の秋吉一成教授、三重大学の村岡大輔助教(現長崎大学准教授)、原田直純特任講師、珠玖洋特定教授らの研究グループによるものです。

 2018年にノーベル医学生理学賞を受賞した免疫チェックポイント機構の発見により、これまでに複数の免疫チェックポイント阻害薬が実用化され、多くの患者さんに投与されています。しかし、免疫チェックポイント阻害薬は、絶大な効果がある患者さんがいる一方で、効果がない患者さんも多くいます。この効果がない患者さんでは免疫細胞、とくにT細胞が、がんを見つけても何らかの理由で侵入できないか、見つけられない状態にあり、免疫学的に不活性であることがわかっていました。

 研究グループは、がん組織にある免疫細胞の一種である腫瘍関連マクロファージ(TAM)が不活性化状態にあり、抗原提示機能を発揮していないことを動物実験で解明。これが、がんが免疫チェックポイント阻害薬に対して抵抗性となる原因の1つである可能性が示唆されました。

 さらに研究グループは、独自のナノゲル型デリバリーシステムを使い、攻撃対象であるがん細胞の識別情報をTAMに選択的に送達することで、抗原提示機能を人為的に誘発することに成功。がんの内部が炎症性環境となり、免疫療法の抵抗性を変換することを発見しました。

 なお、同研究グループの三重大学を中心とする別の研究班では、JST ERATO「秋吉バイオナノトランスポーター プロジェクト」における以前の研究成果と今回の成果を合わせて、「人工がん抗原搭載ナノゲルとT細胞受容体遺伝子改変T細胞の併用療法」を創製。免疫療法抵抗性で知られる難治性軟部肉腫を対象とする多施設共同国内第1/2相医師主導治験を実施中です。