キイトルーダ、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの治験データを発表

文:がん+編集部

 ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の進行肺がんに対する治験の解析データが、2019年の米国癌学会で発表されました。肝転移または脳転移のある非小細胞肺がんに対する治験と、小細胞肺がんを含む進行固形がんに対する治験の結果です。

キイトルーダ併用、肝・脳転移の患者さんで死亡リスクが減少

 MSDは4月9日に、進行肺がんに対するペムブロリズマブを評価した3つの治験の結果を米国癌学会で公表したことを発表しました。肝転移または脳転移のある患者さんを対象とした第3相臨床試験KEYNOTE-189試験のデータと、標準治療後に進行した小細胞肺がんを含む種々の進行固形がんに対する第2相臨床試験KEYNOTE-158試験と第1b相臨床試験KEYNOTE-028試験の統合解析データです。

 KEYNOTE-189試験は、転移性非扁平上皮非小細胞肺がん患者さん616人を対象に、ペムブロリズマブとペメトレキセド(製品名:アリムタ)およびシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法と、ペメトレキセドおよびシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法を比較した試験です。EGFR遺伝子変異またはALK融合遺伝子陰性で、進行がん対する全身治療を受けたことがない患者さんが対象です。

 主要解析では、PD-L1の発現にかかわらず、ペムブロリズマブ併用群で全生存期間が統計学的に有意な改善が見られ、死亡リスクは化学療法群と比べて半減し、無増悪生存期間も有意に改善していたそうです。また、肝転移のある患者さんでは、死亡リスクが38%、脳転移のある患者さんの死亡リスクは59%減少という結果でした。

 KEYNOTE-158試験およびKEYNOTE-028試験は、標準治療後に進行した、小細胞肺がんを含む種々の進行固形がん患者に対するペムブロリズマブの単独療法を評価する非盲検非無作為化マルチコホート試験です。KEYNOTE-158試験は、PD-L1の発現にかかわらず進行した小細胞肺がん患者さんが含まれ、KEYNOTE-028試験にはPD-L1の発現が認められる患者さんが含まれています。2レジメン以上の前治療後に進行した患者さんにペムブロリズマブが投与されました。

2つの試験の統合解析では、全奏効率が19.3%で、完全奏功が2例、部分奏功が14例で、半数以上の患者さんで奏功期間が18か月以上持続しました。12か月間の全生存率は34.3%、24か月間の全生存率は20.7%、12か月間の無増悪生存期間は16.9%、24か月間の無増悪生存期間は13.1%という結果でした。

 イタリア・ミラノのIstituto Nazionale dei TumoriのMarina Garassino博士は、KEYNOTE-189試験に関して「肝転移または脳転移の認められる進行非小細胞肺がん患者さんの予後は、これまで思わしいものではありませんでした。今回の事後解析では、KEYTRUDAと化学療法の併用で、ベースライン時の肝転移または脳転移の有無にかかわらず全生存期間および無増悪生存期間が化学療法のみの場合よりも改善しました。この探索的なデータはKEYNOTE-189試験の全体の結果と一致しています」とコメントしています。

KEYNOTE-189試験の事後解析の結果
PFS OS
N* 中央値、月
(95% CI)
HR
(95% CI)
中央値、月
(95% CI)
HR
(95% CI)
肝転移
あり
KEYTRUDA®
併用
66 6.1
(4.7-8.5)
0.52
(0.34-0.81)
12.6
(8.1-19.1)
0.62
(0.39-0.98)
プラセボ
併用
49 3.4
(2.8-4.7)
6.6
(4.6-7.6)
肝転移
なし
KEYTRUDA®
併用
344 9.2
(8.8-11.0)
0.48
(0.39-0.59)
23.7
(20.1-25.9)
0.58
(0.45-0.74)
プラセボ
併用
157 5.4
(4.9-6.7)
13.2
(10.0-16.4)
脳転移
あり
KEYTRUDA®
併用
73 6.9
(5.4-11.0)
0.42
(0.27-0.67)
19.2
(15.0-25.9)
0.41
(0.24-0.67)
プラセボ
併用
35 4.7
(2.2-5.5)
7.5
(4.6-10.0)
脳転移
なし
KEYTRUDA®
併用
337 9.2
(8.3-10.9)
0.48
(0.39-0.59)
22.4
(19.7-25.4)
0.59
(0.46-0.75)
プラセボ
併用
171 4.9
(4.7-5.9)
12.1
(9.1-15.0)
*肝臓と脳との両方に転移のあった患者は25例