脳腫瘍の新たな内視鏡手術法、高い切除率

文:がん+編集部

 脳腫瘍に対する新しい内視鏡手術法が報告されました。従来の内視鏡手術より切除率が高い手法です。

動静脈からの出血や神経麻痺など合併症が起こりにくい術式

 大阪市立大学は5月7日に、頭蓋底脳腫瘍に対する新たな神経内視鏡手術を報告したと発表しました。同大学大学院医学研究科 脳神経外科学の後藤剛夫准教授、大畑裕紀大学院生らの研究グループによる報告です。

 頭蓋底の脳腫瘍は、開頭手術か経鼻神経内視鏡手術で行われていますが、どちらの手術法も高難度とされ、経鼻内視鏡手術では、頭蓋内へのいる入口が狭く、適応が限定されています。研究グループは、後床突起という脳下垂体の後外側にある骨の突起を切除して脳への入口を広げるという新たな手術法を開発し、44人患者さんを手術しました。その結果、44人とも良好な成績を収めたそうです。

 後床突起を切除するためには、下垂体の両側にある静脈組織を切開するか取り除く必要があります。しかし、海綿静脈洞に切開を加えると周囲の動静脈から多量の出血が起こる可能性があり術野の拡大も限定的でした。研究グループは、トルコ鞍底骨と海綿静脈洞下壁骨という骨を切除することで、静脈組織を露出させ上方へ引き上げることで傷つけることなく後床突起を切除しやすくしました。その結果、静脈からの出血もなく広い術野を確保することができ、これまで切除が非常に困難であった頭蓋底脳腫瘍患者さん44人を安全に手術することができました。

 後藤剛夫先生は「本院脳神経外科ではこれまで頭蓋底脳腫瘍を切除するためのさまざまな手術法を世界に先駆け発表し、良好な手術成績を残してきました。今回の経鼻内視鏡下頭蓋底脳腫瘍切除法も広い術野で安全に腫瘍が摘出できる極めて良い手術法であり、多くの頭蓋底脳腫瘍患者さんに良好な手術結果を届けることができると考えています」と、述べています。