肝臓がん、遺伝的特徴を解析し新たな診断マーカーを発見

文:がん+編集部

 組織型が特殊な「混合型肝臓がん」の遺伝的特徴と診断マーカーが発見されました。肝臓がんの診断精度の向上が期待されます。

混合型肝臓がん、早期診断法や新たな治療法の開発にも期待

 理化学研究所は5月24日に、特殊な混合型肝臓がんを主とする肝臓がんの総合的なゲノム解析を行って、肝臓がんの新たな分子分類を確立し、混合型肝臓がんの遺伝的特徴と診断マーカーを発見したと発表しました。同研究所の生命医科学研究センターがんゲノム研究チームの藤田征志上級研究員、中川英刀チームリーダーらの国際共同研究グループによるものです。

 肝臓がんは、肝細胞がんと肝内胆管がんの2つの組織型があります。この2つの組織型が混合した混合型肝臓がんを含め、3つの種類がありますが、混合型肝臓がんはまれなタイプで診断が難しく、標準的な治療法も確立されていません。

 研究グループは、主に日本と中国の混合型肝臓がん患者さん130人の単一細胞解析を含む統合的ゲノム解析を行い、同研究所がこれまで解析してきた肝細胞がんと肝内胆管がんのゲノム変異と比較しました。その結果、肝臓がんは4つの分化度に基づく分子分類が可能なことがわかったそうです。また、混合型肝臓がんでは、がん抑制遺伝子であるTP53の変異が有意に多く、約50%の患者さんで確認されました。TP53にはさまざまな機能があり、TP53が変異を起こすと脱分化からさまざまな形態の組織へ再分化する可能性があります。さらに、混合型肝臓がんでは、脱分化に関与するネスチンというタンパク質が高発現しており、ネスチンの発現は予後不良とも関連していることから、混合型肝臓がんの診断マーカーになる可能性が示されました。

 今回の研究の進展で、標準治療のない混合型肝臓がんの治療が、肝細胞がんに対する治療法か、もしくは肝内胆管がんに対する治療法へと個別化できる可能性が期待できます。さらに早期診断法や効果的な治療法がない混合型肝臓がんに対して、新しい治療法や診断法の開発も期待できます。