テセントリク併用療法、肝転移のある非小細胞肺がんで全生存期間を延長

2019/06/26

文:がん+編集部

 肝転移のある非扁平非小細胞肺がんの治験で、1次治療としてアテゾリズマブ(製品名:テセントリク)+ベバシズマブ(製品名:アバスチン)+化学療法の併用療法が良好な結果を示しました。

テセントリク+アバスチン+化学療法併用の全生存期間中央値13.3か月

 スイスのエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社は6月2日に、第3相臨床試験IMpower150試験の解析結果を米国臨床腫瘍学会で報告したと発表しました。

 IMpower150試験は、化学療法未治療のステージ4非扁平上皮非小細胞肺がん患者さん1,202人を対象に、アテゾリズマブ+化学療法(カルボプラチン、パクリタキセル)にベバシズマブを追加したグループまたは追加しないグループと、化学療法+ベバシズマブを比較した臨床試験です。主要評価項目は、ALK陽性またはEGFR遺伝子変異陽性の患者さんを除く治療企図(ITT)解析集団と、T細胞活性調整因子の遺伝子発現により層別化した集団を対象とした「無増悪生存期間」、および、ITT解析集団における「全生存期間」です。

 この試験の解析の結果、ITT解析集団のアテゾリズマブ+化学療法+ベバシズマブ併用療法群の全生存期間の中央値は13.3か月、対照群9.4か月で、化学療法+ベバシズマブの併用に比べて全生存期間の延長が認められました。安全性に関しては、各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、併用した場合でも新たな安全性シグナルは認められませんでした。

 アテゾリズマブは、抗PD-L1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬で、最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。具体的には、がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

 現在アテゾリズマブは、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する効能・効果で2018年4月に国内承認、同年12月に化学療法未治療の扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対して用法・用量の追加承認を受けています。今回の治験の結果は、肝転移のある患者さんに対する新たな治療選択として期待されます。