キイトルーダ、TMB-Highの切除不能または転移性の固形がんの適応でFDAが承認
2020/07/30
文:がん+編集部
腫瘍遺伝子変異量高値(TMB-High)の切除不能または転移性の固形がんに対して、ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)単独療法を米国食品医薬品局(FDA)が承認しました。
TMB-High患者さんの解析では、全奏効率29%(完全奏効率4%/部分奏効率25%)
米メルクは6月17日、前治療後に進行し、他に十分な治療選択肢のないTMB-Highの切除不能または転移性の固形がんに対する適応で、ペムブロリズマブ単独療法がFDAから承認されたことを発表しました。KEYNOTE-158試験の奏効率および奏効期間に基づき、迅速承認されました。適応承認の継続に関しては、検証試験での臨床効果の確認が条件とされています。
KEYNOTE-158試験は、対象患者さんに対しペムブロリズマブ(200mgを3週間ごと)を投与し評価した臨床試験です。主要評価項目は、ペムブロリズマブの投与を1回以上受けた患者さんに対する客観的奏効率と奏効期間でした。有効性の確認をするために1,050人の患者さんを解析集団に組み入れ、TMBの条件を満たす腫瘍組織がある790人をサブセットとし、そのうちTMB-High(10mut/Mb以上)の腫瘍が確認された102人の患者さんを対象に解析が行われました。
解析の結果は、客観的奏効率が29%(完全奏効率4%、部分奏効率25%)でした。追跡期間11.1か月の時点では、奏効期間は未達でしたが、奏効した患者さん30人のうち57%で12か月以上の奏効が持続しており、50%の患者さんでは24か月以上の持続的な奏効が認められました。
さらに13mut/Mb以上のTMBが認められた患者さん70人の解析では、客観的奏効率が37%(完全奏効率3%、部分奏効率34%)でした。追跡期間11.1か月の時点では、奏効期間は未達でしたが、奏効した患者さん26人のうち58%で12か月以上の奏効が持続しており、50%の患者さんでは24か月以上の持続的な奏効が認められました。
安全性に関しては、20%以上の患者さんで報告された有害事象は、疲労、筋骨格痛、食欲減退、そう痒、下痢、悪心、発疹、発熱、咳嗽、呼吸困難、便秘、疼痛および腹痛でした。
イェール大学のRoy S. Herbst医学博士(同医学大学院Ensign Professor of Medicine(腫瘍内科)および薬理学教授、イェールがんセンターおよびスミロウがん病院腫瘍内科部長、イェールがんセンタートランスレーショナルリサーチ研究所副所長)は、次のように述べています。
「私たちは医師として、特に二次治療以降の患者さんのための新たな治療選択肢を見いだすことを目指しています。革新的なバイオマーカーとがん免疫療法を組み合わせて今回の承認に至ったことは素晴らしいことであり、希少がんをはじめ、がん種にかかわらずTMB-Highの腫瘍をもつ患者さんに新たな選択肢が生まれたことは希望を与えます」