抗体薬物複合体「パドセブ」、進行または転移性の尿路上皮がんに対する臨床試験で良好な結果

2020/12/01

文:がん+編集部

 免疫チェックポイント阻害薬による治療歴がある進行または転移性の尿路上皮がんを対象に、エンホルツマブ ベドチン(商品名:パドセブ)を評価した臨床試験で、化学療法未治療かつシスプラチン不適応の患者さんで良好な結果が認められました。

シスプラチンが不適応の進行/転移性の尿路上皮がん患者さんで客観的奏効率52%、奏効期間10.9か月

 アステラス製薬は10月13日、Seagen社と共同開発中の抗体薬物複合体エンホルツマブ ベドチンを評価する第2相「EV-201試験」で、良好な結果が得られたことを発表しました。EV-201試験は、前治療として抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体による治療を受けた進行または転移性の尿路上皮がん患者さんを対象に、2つのコホートで構成された臨床試験です。

 コホート1は、白金製剤による治療歴がある患者さん128人が対象。コホート2は、白金製剤を含む化学療法未治療かつシスプラチン不適応の患者さん91人が対象です。主要評価項目は客観的奏効率、副次的評価項目は奏効期間、病勢コントロール率、無増悪生存期間、全生存期間、安全性、忍容性などです。

 今回確認された良好な結果は、コホート2の患者さんを対象としたもので、解析の結果、客観的奏効率が52%、奏効期間(中央値)が10.9か月でした。5%以上の患者さんで発生したグレード3以上の有害事象は、好中球数減少、発疹、疲労、リパーゼ増加、下痢、食欲減退、貧血、高血糖でした。

 エンホルツマブ ベドチンは、細胞間の接着に関連するタンパク質「ネクチン-4」を標的とした抗体薬物複合体です。エンホルツマブ ベドチンが、ネクチン-4と結合することで細胞殺傷物質が放出され、細胞増殖の抑制と細胞死を誘導することで抗腫瘍効果を発揮します。

 同社は今回の発表に際し、次のように述べています。

 「本試験コホート2のデータは、今後開催される学会で発表する予定です。また、規制当局との協議を含め、今後の方針について検討する予定です」