サークリサ、Kd療法との併用薬として再発または難治性の多発性骨髄腫でFDAが承認
2021/04/22
文:がん+編集部
イサツキシマブ(製品名:サークリサ)が、カルフィルゾミブ(製品名:カイプロリス)+デキサメタゾン」療法(Kd療法)と併用する治療薬として、再発または難治性の多発性骨髄腫の効能・効果として米国食品医薬品局(FDA)に承認されました。
「サークリサ+Kd療法」、Kd療法と比べ病勢進行または死亡リスクを45%低下
サノフィは3月31日、前治療歴が1~3つある再発または難治性多発性骨髄腫の成人患者さんに対し、Kd療法に追加する医薬品として、イサツキシマブをFDAが承認したことを発表しました。今回の承認は、IKEMA試験のデータに基づくものです。
IKEMA試験は、再発性の多発性骨髄腫患者さん302人を対象に、「イサツキシマブ+Kd療法」と、標準治療のKd療法を比較した第3相臨床試験です。その結果、「イサツキシマブ+Kd療法」はKd療法と比べ、病勢進行または死亡リスクを45%低下しましたが、全奏効率では有意差は認められませんでした。
安全性に関しては、「イサツキシマブ+Kd療法」とKd療法で20%以上に認められた有害事象はそれぞれ、上気道感染(67%/57%)、Infusion reaction(46%/3.3%)、疲労(42%/32%)、高血圧(37%/32%)、下痢(36%/29%)、肺炎(36%/30%)、呼吸困難(29%/24%)、気管支炎(24%/13%)および咳嗽(23%/15%)でした。「イサツキシマブ+Kd療法」で5%以上に現れた重篤な副作用は、肺炎(25%)と上気道感染(9%)で、患者さんの8%が副作用(グレード1~4)により治療を中止し、患者さんの2.8%は感染症のため治療を中止しました。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の医学部教授で骨髄腫プログラムのアソシエイト・ディレクターであり、成人白血病骨髄移植プログラムを担当し、ヘレン・ディラー・ファミリー総合がんセンターで共同リーダーを務めるトーマス・G・マーティン医師は、以下のように述べています。
「第3相IKEMA試験では、サークリサをカルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法に追加投与したところ、病勢進行または死亡のリスクが45%低下しました。今回の承認は、再発した患者さんにとって重要な進歩であり、サークリサが再発または難治性の多発性骨髄腫の標準治療となる可能性がさらに高まることとなりました」