被ばくリスクや痛みがない、女性に優しい乳がん検査用の超音波画像診断装置
2021/05/25
文:がん+編集部
被ばくリスクや痛みがない、女性に優しい乳がん検査用の超音波画像診断装置が発売されました。
幅広い世代の女性に寄り添った乳がん検査が可能
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は5月10日、乳房用の超音波画像診断装置の販売が開始されたことを発表しました。
NEDOが研究開発型スタートアップの実用開発支援を目的に進める「研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援」の成果を基に、株式会社Lily MedTechが開発し、医療機器製造販売認証を取得し、販売が開始されました。
一般的な乳がん検診で使われるマンモグラフィは、X線被ばくリスクや痛みを伴うだけでなく、乳腺と腫瘍の判別が困難という課題があります。また、乳腺が発達した乳腺比率の高い女性の場合は超音波検査を併用することも多く、受診者の負担軽減が求められていました。
こうした課題を解消するため、東京大学による散乱像再構成技術「リングエコー撮像法」を基に、超音波振動子をリング状に並べることで、視野内を均質に高解像度で撮像する機能を実現した乳房用画像診断装置が開発されました。
今回発売された「乳房用リング型超音波画像診断装置COCOLY」はベッド型の検査装置で、ベッドにうつ伏せの状態で検査を受けます。ベッド中央にある穴に乳房を片側ずつ挿入すると乳房をスライスするように撮像し、乳房断面の画像を作成。既存の検査手法に比べ自然な形に近い乳房全体の3D画像が得られることに加え、被ばくや痛みもなく検査ができ、乳腺比率が高い女性にも適しているため、幅広い世代の女性に寄り添った乳がん検査が可能になります。
株式会社Lily MedTechは、発売開始に際し次のように述べています。
「今後、人工知能(AI)を組み合わせた診断支援ツールの開発などを進めることで、撮影に携わる技師のスキルに依存せず、読影の負担も軽減される新たな製品・サービスの実現を目指します」