「レラトリマブ+オプジーボ」併用療法、未治療の転移性または切除不能な悪性黒色腫に対する臨床試験で無増悪生存期間を改善
2021/06/07
文:がん+編集部
未治療の転移性または切除不能な悪性黒色腫に対する臨床試験で、「レラトリマブ+ニボルマブ(製品名:オプジーボ)」併用療法が無増悪生存期間の改善を示しました。
「レラトリマブ+ニボルマブ」併用療法、病勢進行または死亡リスクを25%低下
ブリストル マイヤーズ スクイブ社は5月19日、未治療の転移性または切除不能な悪性黒色腫患者さんを対象に、抗LAG-3抗体のレラトリマブとニボルマブを1回の点滴静注で投与する固定用量配合剤投与(以下、併用療法)を、ニボルマブ単剤療法と比較したRELATIVITY-047試験の結果を発表しました。
RELATIVITY-047試験は、未治療の転移性または切除不能な悪性黒色腫患者さん714人を対象に、「レラトリマブ+ニボルマブ」併用療法とニボルマブ単剤を比較した第2/3相臨床試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間と奏効率でした。
試験の結果、「レラトリマブ+ニボルマブ」併用療法の無増悪生存期間の中央値は10.12か月、ニボルマブ単独は4.63か月で、病勢進行または死亡リスクが25%低下しました。
安全性に関して、「レラトリマブ+ニボルマブ」併用療法の安全性プロファイルは管理可能で、これまでに報告されたものと一貫していました。グレード3~4の治療に関連する有害事象は、「レラトリマブ+ニボルマブ」併用療法18.9%、オプジーボ単剤9.7%でした。投与の中止につながる有害事象は、「レラトリマブ+ニボルマブ」併用療法14.6%、ニボルマブ単剤6.7%で認められました。
LAG-3とPD-1は、どちらも免疫チェックポイント分子です。がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃するT細胞に発現しているPD-1が結合すると、T細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。ニボルマブはPD-1と、レラトリマブはLAG-3と結合することで、T細胞が本来もっている力を発揮できるようにしてがん細胞の細胞死を促進します。
ダナファーバーがん研究所メラノーマセンター長およびがん免疫療法センター長のF. Stephen Hodi医師は、次のように述べています。
「LAG-3は、免疫療法の新たな標的です。RELATIVITY-047試験の結果では、レラトリマブとニボルマブの新しい併用療法によってLAG-3とPD-1を両方阻害することの有意なベネフィットが示されました。確認された有効性と安全性のプロファイルに基づき、レラトリマブの併用療法は、転移性悪性黒色腫患者さんの重要な新しい治療選択肢となる可能性があります」