トロデルヴィ、転移性トリプルネガティブ乳がんの2次治療薬としてECが承認

2022/01/11

文:がん+編集部

 サシツズマブ ゴビテカン(製品名:トロデルヴィ)が、転移性トリプルネガティブ乳がんの2次治療薬として、欧州委員会(EC)から承認されました。

トロデルヴィ、化学療法と比べて死亡リスクを49%低下

 ギリアド・サイエンシズは2021年12月3日、抗Trop-2抗体薬物複合体サシツズマブ ゴビテカンが、2種類以上の全身治療歴のある切除不能または転移性のトリプルネガティブ乳がんの治療薬としてECから承認されたことを発表しました。今回の承認は、ASCENT試験の結果に基づくものです。

 ASCENT試験は、切除不能で局所進行または転移性のトリプルネガティブ乳がん患者さん500人以上を対象に、サシツズマブ ゴビテカンを化学療法と比較して有効性や安全性を評価した第3相試験です。少なくとも2種類以上の全身治療歴がある患者さんが対象でした。主要評価項目は脳転移のない患者さんの無増悪生存期間、副次的評価項目は全患者さんの無増悪生存期間、全患者さんと脳転移のない患者さんの全生存期間、奏効率、奏効期間、QOL、安全性などでした。

 全生存期間は、サシツズマブ ゴビテカン11.8か月、化学療法6.9か月で、死亡リスクを49%低下しました。脳転移の有無にかかわらず全患者さんの無増悪生存期間は、サシツズマブ ゴビテカン4.8か月、化学療法1.7か月で、病勢進行または死亡リスクを57%低下しました。

 安全性に関して、グレード3以上の副作用は、好中球減少症(49.5%)、白血球減少症(12.0%)、下痢(10.7%)、貧血(10.1%)、発熱性好中球減少症(6.6%)、疲労(5.2%)、低リン血症(5.2%)、悪心(4.1%)、嘔吐(3.0%)でした。

 転移性トリプルネガティブ乳がんを含む複数の上皮性腫瘍では、Trop-2受容体が過剰に発現しています。サシツズマブ ゴビテカンは、このTrop-2受容体と選択的に結合する抗体と抗がん作用のある「トポイソメラーゼ」を阻害する薬剤を結合させた抗体薬物複合体です。

 フランス・レンヌのユージーン・マルケスセンター、メディカル・オンコロジー部門、乳がんグループ長でシニア・オンコロジストのベロニク・ディエラス医師は、次のように述べています。

 「転移性トリプルネガティブ乳がんは、特に治療が困難な疾患で、この疾患を抱える欧州の患者さんには、これまでになり新たな治療オプションが緊急に必要とされてきました。転移性トリプルネガティブ乳がんのセカンドラインを含む本承認は、この疾患を持つ女性が長く生きられるための重要な第一歩となり、地域にとって意義深いものです」