Ph陽性慢性骨髄性白血病を対象にアシミニブを評価したASCEMBL試験で、持続的な奏効を示す
2022/02/17
文:がん+編集部
前治療歴のある慢性期のフィラデルフィア染色体(Ph)陽性の慢性骨髄性白血病を対象に、アシミニブを評価したASCEMBL試験の長期追跡調査の結果が発表。持続的な奏効率が認められました。
アシミニブ、ボシュルフと比較して48週時点の解析でも2倍の有効性を示す
ノバルティスは2021年12月11日、アシミニブを評価したASCEMBL試験から得られた新たな48週時点の長期追跡調査で、持続的な有効性が維持されていることを発表しました。
ASCEMBL試験は、2剤以上のチロシンキナーゼ阻害薬による治療歴のあるPh陽性の慢性期慢性骨髄性白血病患者さん233人を対象に、アシミニブとボスチニブ(製品名:ボシュリフ)を比較した第3相試験です。主要評価項目は24週時点の分子遺伝学的大奏効率※1、副次的評価項目は96週時点の分子遺伝学的大奏効率、96週時点の細胞遺伝学的完全奏効率※2、無増悪生存期間、全生存期間などでした。
前回解析された24週時点の分子遺伝学的大奏効率は、アシミニブ25.5%、ボスチニブ13.2%で、ほぼ2倍の改善を示しました。
今回発表された48週時点の分子遺伝学的大奏効率は、アシミニブ29.3%、ボスチニブ13.2%で、24週時点で認められた2倍の有効性と一致していました。また、アシミニブは62人中60人が各最終評価時点で分子遺伝学的大奏効率を維持していました。
副作用により治療を中止した患者さんの割合は、アシミニブはボスチニブの3分の1未満でした。最も多かった投与中止理由は有効性の欠如で、アシミニブ23.6%、ボスチニブ35.5%でした。曝露期間の中央値は、アシミニブ15.4か月、ボスチニブ6.8か月でした。曝露期間が長くなっても、安全性および忍容性プロファイルはASCEMBL試験の主要解析と一致していました。発現率20%以上で認められた副作用は、アシミニブでは血小板減少症(29.5%)、好中球減少症(23.1%)、ボスチニブでは下痢(71.1%)、悪心(46.1%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の増加(28.9%)、嘔吐(26.3%)、発疹(23.7%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の増加(21.1%)および好中球減少症(21.1%)でした。
Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのHematologistでありMyeloproliferative Neoplasms Program LeaderであるMichael J. Mauro博士は、次のように述べています。
「チロシンキナーゼ阻害薬の逐次的な使用による治療では、治療ラインが進むにつれて治療不成功率が上昇し、副作用に関する懸念が大きくなっていくことはよくあることです。アシミニブは、2剤以上のチロシンキナーゼ阻害薬治療歴がある慢性骨髄性白血病患者さんにとって、実績が積み重ねられている治療選択肢であり、慢性骨髄性白血病をよりよく管理するためのこれまでとは異なる機序を持つ標的阻害薬です」
※1血液の遺伝子検査で、BCR-ABL1融合遺伝子が見つからない状態だった人の割合
※2染色体検査において、フィラデルフィア染色体を有する細胞が0の割合