「イミフィンジ+トレメリムマブ」、切除不能な進行肝細胞がんを対象にしたHIMALAYA試験で全生存期間を改善
2022/02/22
文:がん+編集部
切除不能な進行肝細胞がんを対象にしたHIMALAYA試験で、一次治療として「デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)+トレメリムマブ」併用療法を評価し、全生存期間の改善が認められました。
「イミフィンジ+トレメリムマブ」、ネクサバールと比べ死亡リスクを22%低下
アストラゼネカは2022年1月18日、全身療法による治療歴のない切除不能な肝細胞がんを対象に、「デュルバルマブ+トレメリムマブ」併用療法を評価したHIMALAYA試験の良好な結果を発表しました。
HIMALAYA試験は、切除不能な進行肝細胞がんで身療法による前治療歴がなく局所療法(肝臓とその周辺組織の局所療法)の適応とならない患者さん1,324人を対象、デュルバルマブ単独療法および「デュルバルマブ+トレメリムマブ」併用療法(STRIDEレジメン)とソラフェニブ(製品名:ネクサバール)を比較した第3相試験です。主要評価項目はSTRIDEレジメンとソラフェニブを比較した全生存期間、主な副次的評価項目はデュルバルマブ単独療法とソラフェニブを比較した全生存期間、STRIDEレジメンとデュルバルマブ単独療法の全奏効率および無増悪生存期間でした。
STRIDEレジメンでは、初回投与としてデュルバルマブ1,500mgに加えて、免疫反応を誘導するためにトレメリムマブ300mgを投与し、その後4週間ごとにデュルバルマブによる治療が行われました。
主要評価項目の全生存期間の解析では、STRIDEレジメン16.4か月、ソラフェニブ13.8か月で、死亡リスクを22%低下しました。3年生存率はSTRIDEレジメンで推定31%、ソラフェニブ20%でした。
副次的評価項目の客観的奏効率の解析では、STRIDEレジメン20.1%、ソラフェニブ5.1%とSTRIDEレジメンが高いことが示されました。
STRIDEレジメンおよびイミフィンジ単独療法の安全性プロファイルは、これまでに認められた安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。グレード3または4の治療関連有害事象は、STRIDEレジメン25.8%、デュルバルマブ単独療法12.9%、ソラフェニブ36.9%でした。
グレード3または4の治療関連の肝臓における有害事象の発現率は、STRIDEレジメン5.9%、デュルバルマブ単独療法5.2%、ソラフェニブ4.5%でした。治療関連の有害事象により治療中止に至ったのは、STRIDEレジメン8.2%、デュルバルマブ単独療法4.1%、ソラフェニブ11%でした。
Memorial Sloan Kettering Cancer Centerの指導医で、HIMALAYA試験の治験責任医師である Ghassan Abou-Alfa医師は、次のように述べています。
「切除不能な肝がん患者さんの予後は悪く、長期生存率の改善には新たな治療選択肢が必須です。STRIDEレジメン群における3年全生存率および良好な安全性プロファイルは、この条件下での新たなベンチマークになるとともに、この革新的な治療法の可能性を示しています」