転移性去勢抵抗性前立腺がんに対する一次治療として「リムパーザ+ザイティガ」を評価したPROpel試験の良好な結果を発表
2022/03/09
文:がん+編集部
転移性去勢抵抗性前立腺がんに対する一次治療として、「オラパリブ(製品名:リムパーザ)+アビラテロン(製品名:ザイティガ)」併用療法を評価したPROpel試験で、病勢進行または死亡リスクが34%低下しました。
「リムパーザ+ザイティガ」、ザイティガ単独と比べ病勢進行または死亡リスクを34%低下
アストラゼネカ社と米メルク社は2022年2月14日、第3相PROpel試験の良好な結果を発表しました。
PROpel試験は、相同組換え修復関連遺伝子変異の有無にかかわらず、転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんを対象に、一次治療として「オラパリブ+アビラテロン」と「プラセボ+アビラテロン」を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間、初回の後治療までの期間、2回目の病勢進行までの期間、奏効率、疼痛進行までの期間、安全性などでした。
中間解析の結果、「オラパリブ+アビラテロン」は「プラセボ+アビラテロン」と比較して病勢進行または死亡リスクを34%低下。無増悪生存期間の中央値はそれぞれ、24.8か月と16.6か月でした。全生存期間の解析でも「オラパリブ+アビラテロン」併用療法は良好な傾向がみられましたが、中間解析時点では統計学的な有意差には達していませんでした。
初回の後治療までの期間、2回目の病勢進行までの期間、奏効率、前立腺特異抗原値および循環腫瘍細胞数などの有効性評価項目から得られた追加データは、全患者さんで「オラパリブ+アビラテロン」併用療法の有効性をさらに裏付ける結果でした。
安全性に関しては、これまでに認められた個々の医薬品の安全性プロファイルと一致していました。「オラパリブ+アビラテロン」併用療法による治療を受けた患者さんでは、アビラテロンの投与中止率の上昇は認められず、アビラテロンによる治療と比較して、健康関連QOLに対する有害な影響は認められませんでした。20%以上の患者さんで発現した有害事象は、貧血(45%)、悪心(28%)および疲労(28%)でした。グレード3以上の有害事象は、貧血(15%)、高血圧(4%)、尿路感染(2%)、疲労(1%)、食欲減退(1%)、嘔吐(1%)、無力症(1%)、背部痛(1%)、下痢(1%)でした。有害事象を発現した「オラパリブ+アビラテロン」併用療法の患者さんの約86%が、中間解析時点で治療を継続していました。
モントリオール大学医学センター泌尿器学科長、および泌尿生殖器がん研究所長で、PROpel試験の治験責任医師であるFred Saad教授は次のように述べています。
「転移性去勢抵抗性前立腺がんの予後は極めて悪く、多くの患者さんにとって、受けられる効果的な治療が1ラインしかありません。PROpel試験の結果、リムパーザとアビラテロンの併用療法がアビラテロンと比較して病勢進行を有意に8か月以上遅らせることが示されたことから、この併用療法が承認されれば転移性去勢抵抗性前立腺がんの新たな標準治療の選択肢となる可能性があります」