進行性・難治性の胆道がんを対象にナンブランラトを評価したJPH203-SBECD-P2試験の結果、ASCO2023で発表

2023/06/23

文:がん+編集部

 進行性・難治性の胆道がんを対象に、LAT1阻害薬ナンブランラトを評価したJPH203-SBECD-P2試験の良好な結果が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO)2023で発表され、LAT1高発現の胆道がん、肝外胆管がん、胆のうがんに対して特に顕著な改善が認められました。

ナンブランラト、LAT1高発現のサブグループ解析ではプラセボと比較して病勢進行または死亡リスクを56%低下

 ジェイファーマは2023年6月5日、進行性・難治性の胆道がんを対象に、ナンブランラトを評価したJPH203-SBECD-P2試験の良好な結果をASCO2023で報告したことを発表しました。

 JPH203-SBECD-P2試験は、切除不能もしくは再発の胆道がんを対象に、LAT1阻害薬ナンブランラトとプラセボを比較した第2相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、主な副次的評価項目は全生存期間、病勢コントロール率でした。

 解析の結果、主要評価項目である無増悪生存期間において、ナンブランラトはプラセボと比較して病勢進行または死亡リスクを44%低減し、統計学的に有意な改善を示しました。副作用に関しては、ナンブランラト41.4%、プラセボ57.1%で認められ、グレード3以上の有害事象は、ナンブランラト30%、プラセボ22.9%でしたが、投与の中止や死亡につながる有害事象は認められませんでした。

 LAT1高発現のサブグループ解析では、ナンブランラトはプラセボと比較して病勢進行または死亡リスクを56%低下し、全患者さん対象とした解析より有意な改善が認められました。

 また、全生存期間の解析では、全患者さんを対象としたナンブランラトにおける有意な延長は認められませんでしたが、LAT1高発現の患者さんではより延長を示しました。

 病勢コントロール率に関しては、ナンブランラト24.6%、プラセボ11.4%でした。病勢コントロールが認められた患者さんのうち、約65%がLAT1高発現の患者さんでした。このことから、ナンブランラトは予後が悪いといわれちるLAT1高発現の胆道がんに対して、より臨床的に有用であることが示唆されました。

 さらに、4つの胆道がんサブタイプにおける無増悪生存期間を解析した結果、特に肝外胆管がんと胆のうがんにおいてナンブランラトの有用性が示唆されました。そこで、肝外胆管がんと胆のうがんのデータを合わせプラセボと比較した解析を行ったところ、病勢進行または死亡リスクを78%低減し、より有意な改善を示すことが明らかになりました。

 国立がん研究センター東病院肝胆膵内科の池田公史科長は、次のように述べています。

 「LAT1の阻害剤であるナンブランラトは、これまでの抗がん剤とは異なる機序で抗腫瘍効果を発揮する新しい薬剤です。標準治療に不応/不耐の進行胆道がん患者を対象として、ナンブランラトとプラセボを比較したランダム化第2相試験において良好な治療効果が示されました。その中でもLAT1が高発現している患者において、その作用機序を裏付ける解析結果でした。臨床結果からもナンブランラトの作用機序をきちんと証明できたことは、類を見ないことであり、これからの開発に弾みがつくものと思います」