ターゼナ、BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がんの治療薬として国内承認
2024/03/06
文:がん+編集部
タラゾパリブ(製品名:ターゼナ)が、「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」の治療薬として国内承認されました。
ターゼナ、化学療法と比較して無増悪生存期間の改善を示す
ファイザー株式会社は2024年1月18日、タラゾパリブが、「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」の治療薬として国内における製造販売承認を取得したことを発表しました。今回の承認は、EMBRACA試験および国内第1相試験の結果に基づくものです。
EMBRACA試験は、転移乳がんに対する化学療法歴があり、BRCA遺伝子変異がある局所進行または転移乳がん患者さんを対象に、タラゾパリブと治験責任医師が選択した化学療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は客観的奏効率、全生存期間、有害事象発生割合などでした。試験の結果、タラゾパリブは化学療法と比較して無増悪生存期間の延長が認められ、忍容性も良好でした。また日本人を対象とした国内第1相試験でも、臨床的に意味のある抗腫瘍効果が認められました。
愛知県がんセンター乳腺科部の岩田広治部長は、次のように述べています。
「早期乳がん診療において、遺伝性乳がんの原因遺伝子であるBRCA遺伝子変異を調べることは、周術期治療・術式・リスク低減手術の適応を決める上で必須となっています。また、転移・再発乳がんにおいて、生殖細胞系列BRCA遺伝子変異を有する場合、PARP阻害剤の投与がガイドラインで推奨されています。海外試験であるEMBRACA試験の結果から、2018年に米国、2019年にEUで承認されたタラゾパリブの有用性が、日本人の乳がん患者を対象とした国内第1相試験でも示され、このたび日本でも承認されました。これにより、生殖細胞系列BRCA遺伝子変異を有する転移・再発乳がんの患者さんにとって、新たな治療選択肢が加わることとなります」