切除不能な肝細胞がんを対象に「イミフィンジ+TACE+ベバシズマブ」を評価したEMERALD-1試験の結果を発表

2024/03/19

文:がん+編集部

 切除不能な肝細胞がんを対象に、「デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)+肝動脈化学塞栓療法(TACE)+ベバシズマブ」併用療法を評価したEMERALD-1試験の結果を発表。無増悪生存期間の改善が認められました。

「イミフィンジ+TACE+ベバシズマブ」併用療法、TACE単独療法と比較して病勢進行または死亡リスクを23%低減

 アストラゼネカは2024年1月19日、EMERALD-1試験の結果を発表しました。

 EMERALD-1試験は、TACE対象の切除不能な肝細胞がん患者さん616人を対象に、「デュルバルマブ+TACE」の同時併用後のデュルバルマブ単剤療法もしくは「デュルバルマブ+ベバシズマブ」併用療法を増悪まで継続する治療とTACE単独療法を比較した第3相試験です。主要評価項目はTACEの単独療法と比較した「デュルバルマブ+TACE+ベバシズマブ」併用療法の無増悪生存期間、副次評価項目はTACEの単独療法と比較した「デュルバルマブ+TACE」併用療法の無増悪生存期間、全生存期間、患者報告アウトカム、客観的奏効率などでした。

 解析の結果、「デュルバルマブ+TACE+ベバシズマブ」併用療法はTACE単独療法と比較して病勢進行または死亡リスクを23%低減。無増悪生存期間の中央値は、それぞれ15か月と8.2か月でした。また、増悪までの期間の中央値は、それぞれ22か月と10か月でした。

 スペイン、パンプローナのClínica Universidad de Navarra肝臓ユニット長および内科教授であり、本試験の治験責任医師であるBruno Sangro医学博士は、次のように述べています。

 「早期の肝がんにおいて、TACEが標準治療となってから20年以上経ちますが、病勢進行率は依然として高いままでした。TACEにイミフィンジとベバシズマブを追加することで、TACE対象の肝がん患者さんの病勢進行または死亡のリスクが23%低減したことから、全身療法とTACEを併用することで、早期ステージにおける臨床的に重要な転帰が有意に改善することが初めて示されました」