EGFR陽性の進行・転移性非小細胞肺がんを対象にRYBREVANT皮下投与を評価したPALOMA-3試験の結果を発表

2024/07/29

文:がん+編集部

 EGFRエクソン19欠失変異(ex19del)またはL858R変異がある局所進行性または転移性非小細胞肺がんを対象に、「アミバンタマブ(製品名:RYBREVANT)+ラゼルチニブ」併用療法を評価したPALOMA-3試験の良好な結果を発表。欧州医薬品庁への承認申請が行われました。

RYBREVANTの皮下投与、静脈投与と比較した良好な結果を基に欧州医薬品庁へ承認申請

 ジョンソン・アンド・ジョンソンは2024年5月31日、PALOMA-3試験による最初のデータを発表しました。

 PALOMA-3試験は、オシメルチニブ(製品名:タグリッソ)による治療および化学療法中に病勢が進行した、EGFR変異のある進行性または転移性非小細胞肺がん患者さん418人を対象に、「アミバンタマブ皮下投与+ラゼルチニブ」併用療法と「アミバンタマブ静脈投与+ラゼルチニブ」併用療法を比較した第3相試験です。薬物動態における主要評価項目は、アミバンタマブの血中濃度を評価する2つの指標として、第2サイクルの1日目または第4サイクルの1日目におけるトラフ濃度と、第2サイクルの曲線下面積(1日目から15日目)、主な副次評価項目は客観的奏効率、無増悪生存期間でした。

 解析の結果、アミバンタマブ皮下投与は、静脈内投与に対して非劣性であることが示されました。2つの主要薬物動態的効果評価項目は、血中濃度(1日目から15日目までのトラフ濃度および血漿中濃度–時間曲線下面積)で評価され、基準を満たしました。

 また、全奏効率は、皮下投与は30%、静脈内投与群は33%で非劣性基準を満たしました。皮下投与は、静脈内投与と比較して奏効期間および無増悪生存期間の延長のほか、全生存期間の有意な改善も認められました。投与時間に関しては、皮下投与で中央値約5分未満、静脈内投与は5時間以下と皮下投与において大幅に短縮され、統計学的に有意に多くの患者さんが、利便性が高いと報告しました。

 安全性に関しては、アミバンタマブ皮下投与の全体的な安全性プロファイルは、静脈内投与の既知のプロファイルと一貫していました。皮下投与で最も多く確認された全グレードの有害事象(20%以上)は、静脈内投与と比較して、爪囲炎(皮下投与54%/静脈内投与51%)、低アルブミン血症(47%/37%)、発疹(46%/43%)でした。グレード4または5の輸注反応の報告はありませんでした。輸注反応の発現率は皮下投与で13%、静脈内投与では66%でした。本試験では予防的抗凝固剤がほとんどの患者さんで使用されており、静脈血栓塞栓症の発現率は、予防的抗凝固剤の投与を受けていた患者さんで10%、受けていなかった患者さんで21%でした。さらに、抗凝固剤の使用に関わらず、静脈血栓塞栓症の発現率は、皮下投与が9%、静脈内投与が14%でした。皮下投与と静脈内投与の比較で、抗凝固剤の投与を受けていた患者さんの重篤な出血リスクは同程度でした(2%/1%)。

 カナダ・トロントのプリンセス・マーガレットがんセンターの腫瘍内科医であり、2024年米国臨床腫瘍学会年次総会でPALOMA-3試験の結果を発表したNatasha B. Leighl医師は、次のように述べています。

 「PALOMA-3試験のデータは、アミバンタマブの皮下投与が、現行の静脈内投与と同等の薬物動態および有効性でありながら、投与時間を短縮しました。このほか、皮下投与群における輸注反応の発現率は13%で、静脈内投与群は66%でした。静脈血栓塞栓症の発現率は静脈内投与群が14%、皮下投与群は9%でした。これらの所見が、EGFR変異を有する非小細胞肺がん患者さんの治療体験を改善し得ることで、臨床現場においてどのような有意義な変化をもたらすことができるかに期待しています」