TROP2陽性非小細胞肺がん対象、ダトポタマブ デルクステカンを評価したTROPION-Lung01試験結果を発表
2024/10/17
文:がん+編集部
TROP2バイオマーカー陽性の非小細胞肺がんを対象に、抗TROP2抗体薬物複合体ダトポタマブ デルクステカンを評価したTROPION-Lung01試験の結果が発表されました。
ダトポタマブ デルクステカン、ドセタキセルと比較してTROP2陽性患者さんの病勢進行または死亡リスクを43%低減
第一三共株式会社は2024年9月9日、TROPION-Lung01試験の結果を世界肺がん学会で報告したことを発表しました。
TROPION-Lung01試験は、治療歴のある進行または転移性非小細胞肺がん患者さんを対象に、ダトポタマブ デルクステカンとドセタキセルを比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は客観的奏効率、奏効期間、病勢コントロール率、有害事象率、薬物動態などでした。また、定量的連続スコアリング(QCS)と呼ばれる新しい方法を用いて、TROP2バイオマーカーを評価しました。
解析の結果、TROP2陽性患者さんと判定された無増悪生存期間の中央値は、ダトポタマブ デルクステカン6.9か月、ドセタキセル4.1か月で、ダトポタマブ デルクステカンはドセタキセルと比較し病勢進行または死亡リスクを43%低減しました。なお、全患者さんの無増悪生存期間の中央値は、2023年10月開催の欧州臨床腫瘍学会で発表された通り、それぞれ4.4か月と3.7か月で、ダトポタマブ デルクステカンはドセタキセルと比較し病勢進行または死亡リスクを25%低下させ、統計学的に有意な改善が認められています。
また、アンメットメディカルニーズが特に高いActionable遺伝子変異の無い非扁平上皮非小細胞肺がん患者さんを対象としたサブグループ解析では、TROP2陽性患者さんの無増悪生存期間の中央値は、ダトポタマブ デルクステカン7.2か月、ドセタキセル4.1か月で、ダトポタマブ デルクステカンはドセタキセルと比較し病勢進行または死亡リスクを48%低下させました。
安全性に関しては、新たな安全性シグナルは認められませんでした。グレード3以上の有害事象の頻度はTROP2の発現量に関わらず同程度でした。TROP2陽性の患者さんの有害事象率(グレード3以上)は、ダトポタマブ デルクステカン30%、ドセタキセル46%でした。薬剤と関連のある間質性肺疾患(グレード3以上)については、ダトポタマブ デルクステカンで3%、ドセタキセルでは1%の患者さんに認められました。
同社は、次のように述べています。
「本解析結果より、QCSを活用しTROP2の発現状況を確認することによって、本剤の治療効果が期待される非小細胞肺がん患者さんを同定できる可能性が示されました。当社は、これらの知見およびバイオマーカーについての理解を深め、現在進行中の臨床試験等を通じて、本剤の開発を加速させてまいります」